専門商社への就職がやめとけと言われる理由とは？隠れ優良企業についても解説！

商社の中には特定の分野に力を入れている「専門商社」があります。給与水準が高いことから人気がありますが、総合商社と同様に激務であることが多く「やめとけ」といわれるケースは珍しくありません。

専門商社への就職を視野に入れている人であれば、なぜそのように言われているのか理由を知りたいところです。

そこで今回は、専門商社への就職に対して「やめとけ」と言われる理由を解説します。隠れ優良企業についても触れていくため、ぜひ参考にしてみてください。

専門商社とは

専門商社とは特定の分野に特化したビジネスを展開する商社のことです。商社には三菱商事・三井物産・住友商事といったさまざまな製品・素材を扱う「総合商社」と専門商社の2種類があります。

専門商社の定義は、一般的に特定のジャンルの商品売上が50％以上を占めていることです。総合商社よりも管轄する商品・素材の範囲は狭いものの、より深い専門的な知識が要求されます。

専門商社の種類

専門商社は大きく分けて次の3種類あります。

総合系専門商社は規模が大きな総合商社の子会社です。親会社である総合商社が扱わない専門性が高い領域・ニッチな商材を扱っており、グループとしてバランスを取っています。

メーカー系専門商社は特定のメーカーと提携しており、その製品を扱うことに特化した商社です。独立系専門商社は上記の2種類に該当せず、独自の歴史やパイプを持っている点が特徴です。

「専門商社はやめとけ」と言われる理由

「専門商社はやめとけ」と言われる主な理由は次の通りです。

激務である企業が多い

一般的に商社は仕事量が多く激務となることから「やめとけ」といわれる傾向にあります。仕事の難易度が高いだけでなく、残業や休日出勤が多いケースもあり激務といわれているのです。

さらに、商社は人脈が重要視される業界でもあるため、業務以外に取引先との会食・接待が多く自分の時間を確保しにくいケースも珍しくありません。他にも、海外の企業との取引が多い場合は、時差の関係から残業や休日出勤が増える傾向にあります。

ただし、専門商社の中でもニッチな分野であれば総合商社よりも競争が少ない場合もあります。

顧客とメーカーの板挟みである

商社は仕入れ先であるメーカーと卸先である顧客との間に立つ仕事であり、その仲介に関する中間利益で成立しています。そのため、メーカーと顧客のそれぞれのスケジュールや商品を管理しなければなりません。

場合によっては予定した商品の搬入が遅れるなどのトラブルが発生することもあるでしょう。また、顧客から急ぎで仕入れたいといった無茶な要望をいわれるケースも珍しくありません。

もしメーカーと顧客の要望を叶えられなければ、自分に原因がなかったとしても謝罪しなければならないケースもあり「板挟みがつらい」と感じやすいです。

生産量を左右する仕事で責任重大である

商社がメーカーと顧客の間に立っていることにより、顧客は商品を安定して仕入れられるメリットがあります。もし急を要する・大量の商品を仕入れる必要があっても、商社がメーカーに掛け合い対応してくれるでしょう。

このような場合、商社によってメーカー側の生産量が左右されるため責任重大です。もし納期遅れや連絡ミスがあれば、メーカー・顧客の双方に大きな損失が発生する可能性があります。

また、専門商社の場合、顧客がメーカーであることも珍しくありません。この場合、素材・部品などの納品が遅れると顧客の生産ラインがストップしてしまうでしょう。

商品知識を学び続ける必要がある

商社では扱う商品の数が多く、顧客に提案するためには知識を身に付けなければなりません。特に専門商社は一部の分野に特化しているため、勉強する幅は狭く深いです。

日常生活で扱うものではないケースがほとんどであるため、円滑に仕事を進めるためには学び続ける必要があります。また、新しい商品や素材、部品などが登場すれば、それらの特徴も押さえなければなりません。

専門商社の中でも取扱い商品数が多い企業であれば、勉強による負担が大きくなるため「やめとけ」といわれるのです。

売上ノルマがきつい場合がある

商社では売上を確保するために、厳しいノルマを課せられることがあります。特に専門商社であれば既にある程度の取引先が決まっているため、新規営業の難易度は高い傾向にあるでしょう。

商社の顧客は企業が中心であるためノルマが設定されている期間は半年・1年と長く、日々の数字に対して厳しく問われるケースは多くありません。しかし、目標期間の終盤にもかかわらず、達成度合いが低いと叱責を受ける可能性はゼロではないでしょう。

また、ノルマを達成できなかった場合、給与や賞与に大きく影響します。

多忙で時間を確保しにくい

先程の通り、専門商社はメーカーと顧客との板挟みであり、残業や休日出勤、会食・接待などが多い傾向にあります。このような多忙な業種であることから、プライベートの時間を確保しにくい・予定を立てにくい点にデメリットを感じる人もいます。

また、専門商社の種類によっては特に忙しい繁忙期があり、満足に休みを取れないこともあるでしょう。他にも、何かトラブルが発生した際には急ぎの対応が求められます。

企業によっては海外への転勤・常駐などもあり、生活環境に大きな影響を与える可能性もあるのです。

専門商社に勤務するやりがい

専門商社は「やめとけ」といわれるものの、下記のようにやりがいを感じられる部分もあります。

顧客・メーカーの役に立つ

商社は顧客とメーカーの間に立つため板挟みになりやすいですが、その分、頑張れば双方に貢献できます。商社の役割は仲介することにより、商材の調達や価格交渉、物流の手配などがあります。

顧客に対しては総合的なビジネスのサポートを提供し、メーカーの売上確保に繋がるため「役に立っている」と実感しやすいでしょう。また、メーカーに就職した場合は自社の商品しか扱えませんが、商社であればさまざまなものを扱えます。

顧客に幅広い選択肢の中からニーズに合った最適なものを提案できる点がメリットであり、やりがいに繋がるのです。

売上達成の満足感がある

商社は日々の業務の中で売上を重要視しているためノルマに追われる辛さもありますが、達成したときの喜び・満足感も大きいです。特に、トラブルや無茶な要望などの苦難を乗り越え目標を達成した際は、自身の成長を実感できます。

営業職であれば売上や件数などが数値となって可視化され評価されることにより、昇給・昇進に繋がりやすい点も魅力の一つです。

業界・商品の知識を深く理解できる

専門商社の場合は特定の業界・商品に特化しているため、関連知識を身に付け深く理解できます。専門知識を深めた上で市場のトレンドや顧客のニーズを把握すると、最適な提案に繋がるでしょう。

経験を積むことで同じ業界の他業種でも通用するスキルになり転職する際に有利です。

海外で仕事ができる可能性がある

専門商社は海外で働きたいと考えている人におすすめです。日本にはない素材・商品を扱う場合、どうしても海外の取引先が多くなります。海外の企業と直接やり取りし、場合によっては現地で直接交渉をすることもあるでしょう。

取引先の文化・市場のトレンドに触れることで、その業界の中で通用する知識・スキルを身につけられます。

専門商社に向いている人の特徴

専門商社に向いている人は、まずコミュニケーション能力がある人・コミュニケーションを取ることが好きな人です。基本的な業務は顧客とメーカーである取引先との折衝であるため、人とのやり取りが得意な方が向いています。

また、商品知識や市場トレンド、顧客ニーズを把握するためにはどうしてもコミュニケーションが必要です。また、業界について興味があり勉強を続けられる人や好奇心旺盛な人も向いているといえるでしょう。

営業職であれば売上を立てることが仕事であるため仕事と数字に責任を持ち、データ分析などを活用して目標を達成するために行動できる人である必要もあります。

専門商社に向いていない人の特徴

専門商社に向いていない人の特徴は、まずコミュニケーションに苦手意識がある人です。先程の通り、基本的な業務は取引先とのやり取りがメインになるため、コミュニケーションが苦手な人は苦労するでしょう。

また、売上ノルマや目標の数字などプレッシャーに弱い人も向きません。他にも、顧客とメーカーとのやり取りの中では一筋縄に行かないことやトラブルが発生するケースもあります。

これらの問題に直面しても冷静に対応する必要があるため、イレギュラーに弱い人も向かないでしょう。そして、自分の時間を確保しにくい点からワークライフバランスを重視する人にも適していません。

専門商社の隠れ優良企業とは？

ここまでの通り、専門商社は「やめとけ」といわれるほどネガティブな側面がありますが、中には「隠れ優良企業」といわれる会社もあります。ここからはそれらの特徴などについて解説します。

隠れ優良企業の定義

優良企業の定義はさまざまですが、就活生・転職者にとって満足感を得ながら働ける環境・納得いく労働条件の職場などが該当するでしょう。一般的に商社は激務なケースがありますが、優良企業は労働者の心身の健康に配慮し適切な働き方を実現しやすいです。

また、「隠れ」というのは就活生・転職者からあまり認知されておらず、倍率が低くなりやすいことを意味します。例えば、条件が良い有名な企業であれば、応募は殺到し倍率は高くなるでしょう。

隠れ優良企業の特徴

隠れ優良企業は労働環境が整っていることが大きな特徴です。例えば、サービス残業や休日出勤がなく、福利厚生が充実しており離職率が低いことなどが挙げられます。

他にも、有給休暇・育児休暇など会社の制度を従業員が理解しており、活用できている企業も該当します。いわゆる「ブラック企業」の対称的な存在といえるでしょう。

また、先程の通り離職する人材が少ないことから活発的に採用をしておらず、募集人数が多くない点も特徴の一つです。

専門商社に隠れ優良企業が多い理由

専門商社に隠れ優良企業が多い主な理由は次の通りです。

取引相手がある程度決まっている

専門商社の中にはある程度取引先が決まっており、新規営業に力を入れていない企業もあります。商社は売上ノルマが厳しいイメージですが、このような企業であれば営業の難易度は低くなるでしょう。

もちろん企業として利益を出す必要があり、状況に応じて営業活動を行う必要がありますが、そこまで厳しいノルマを課せられるわけではないため、隠れ優良企業が多いといわれています。

就活生からの知名度はあまり高くない

隠れ優良企業は就活生からの知名度はさほど高くないため「隠れ」といわれています。そもそも商社の顧客・取引先は企業であり、自社オリジナルの商品を扱う企業は多くありません。

一般消費者向けに広告・宣伝する必要がなく、優良企業であっても世間的な認知度は低い傾向にあるのです。また、有名な大手総合商社と比較すると競争率は高くなく、条件が良いことも「隠れ優良企業」と呼ばれる理由の一つです。

募集人数自体はあまり多くない

専門商社の隠れ優良企業の競争率は高くありませんが、募集している人数自体も少ない傾向にあります。採用人数が少なくすぐに募集を打ち切ることから、就活生の間で認知度が広まらず大手総合商社よりも存在が霞んでしまうのです。

優良な専門商社を目指す際のポイント

優良な専門商社を目指す際の主なポイントは次の通りです。

専門商社の業界を把握する

専門商社への就職・転職を目指す際は、その業界について研究や分析をして知識を得ましょう。就職・転職の選考では必ずといっていいほど「志望動機」を聞かれますが、十分に業界研究ができていなければ説得力はなくなります。

自身が専門商社を目指す目的を明確にし、熱意を伝えるためにも業界の勉強は怠らないようにしましょう。また、業界研究が終わり応募する会社が決まったら、企業研究も入念に実施する必要があります。

自己分析を徹底する

就職・転職の鉄則として自己分析も徹底しましょう。専門商社で求められる知識・スキルを身につけた上で、自身が入社後にどのような形で貢献できるかを考えます。

例えば、営業経験者であれば上手くいった経験をエピソード形式で話せると、効果的な自己PRに繋がることが期待できます。面接の質問を想定して自己分析に励むことにより、本番でもスムーズに回答しやすくなるでしょう。

入社後のプランを考えておく

専門商社・隠れ優良企業に関わらず、将来的なビジョンがない人材はモチベーションが低く、長続きしない傾向があります。そのため、専門商社を目指す場合は入社後に成し遂げたい展望を話せるようになりましょう。

また、入社後のビジョンはその企業のことを深く理解していなければ答えられません。そのためにも、応募する企業の事業内容だけでなく得意分野や取引先、現在力を入れているビジネスについて調べておきましょう。

転職エージェント・就職エージェントを活用する

効率良く就職活動・転職活動を進めたい場合は、転職エージェント・就職エージェントの活用がおすすめです。これらのサービスは基本的に無料で利用でき、希望に合った求人の紹介から応募書類の添削、面接対策などのサポートを受けられます。

一人で活用するよりもサポートを受けながらの方が隠れ優良企業を見つけやすく、不足している部分を補えるため有効です。

専門商社を目指す場合のおすすめの就職エージェント

専門商社を目指す場合のおすすめの転職エージェント

専門商社はやめとけといわれる際によくある質問

まとめ

この記事では、専門商社への就職に対して「やめとけ」と言われる理由を解説しました。専門商社は総合商社と同様に、仕事が激務であり自分の時間を確保しにくいことから「やめとけ」といわれることが多いです。

また、海外との取引が多い場合は時差の関係から、仕事の時間が不規則になったり残業・休日出勤が多くなったりします。しかし、専門商社の給与水準は高く仕事にやりがいがあるため人気があります。

就職を考えている人は、専門商社で働くメリットとデメリットを把握し、後悔がないように就職活動・転職活動に励みましょう。