地域に密着した金融機関である信用金庫は、安定して働けるイメージが強く人気があります。給与以外にも福利厚生が充実していることから、就職を目指す人は少なくありません。
しかし、そのような信用金庫への就職は「やめとけ」という否定的な意見もあり、実際に働いて後悔する人もいます。信用金庫への就職を視野に入れている人であれば、ネガティブな声の理由を知りたいと思うでしょう。
そこで今回は、信用金庫への就職を目指している人のために、「やめとけ」と言われる理由を紹介します。
また、既に働いている人は今後どうするべきか対処法についても解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
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信用金庫の主な業務
信用金庫への就職を視野に入れている人にとって、どのような業務を担当することになるかは気になるところです。まずは、信用金庫の主な業務について紹介します。主に下記が挙げられるため、参考にしてみてください。
窓口業務
窓口業務は各支店の窓口で顧客の相談・要望に対応することから、信用金庫の業務の中で最も利用者に身近なものです。
その業務内容は多岐にわたり、例えば新規口座の開設や預金の出金・入金、振り込み、住所・印鑑などの変更、定期預金の作成などがあります。
窓口の手続き以外に、顧客の資産運用の相談などに応じることも少なくありません。そのため、通常の業務だけでなく投資信託・国債・生命保険などの知識が求められます。
また、窓口の職員は信用金庫の顔と言っても過言ではないため、顧客の立場になり丁寧に対応する点も特徴の一つです。
事務業務
信用金庫では窓口の対応以外にもさまざまな事務作業が発生します。例えば、顧客から預かった現金・伝票・書類などをシステムに記録することや、支店・コールセンターにかかる電話対応などがあります。
窓口対応の分だけ事務作業が生まれるため「後方事務」とも呼ばれ、普段の業務の中で大量の仕事を処理しなければなりません。
また、顧客からのクレームに対応する職員も存在します。幅広い仕事を担う重要な役割であり、正確で効率的な仕事が求められます。
融資業務
信用金庫では顧客からの融資の相談・申し込みの対応をし、お金を貸せるか判断するために審査します。例えば、マイカーローンや住宅ローンなど融資の内容は信用金庫によってまちまちです。
貸付を希望する相手に対し、資金使途・返済原資・借入期間・担保の有無などの項目をヒアリングします。
また、個人の顧客だけでなく事業者も対象であることから、設備資金の調達など資金繰りの相談を受けることも少なくありません。
これらのヒアリング内容をもとに融資の計画を立て、最適な融資提案をすることが主な仕事です。
営業業務
信用金庫の営業業務は顧客先を訪問する外回りの仕事であり、「渉外係」と呼ばれ預金・融資・投資信託・保険などを案内します。
訪問する顧客はさまざまで、「忙しく支店の窓口まで来れない自営業者」「足腰や体調が悪い人」などが対象となります。担当者ごとに地区が区切られており、自転車や自動車を使い訪問するケースが一般的です。
この渉外係は支店があるエリアの顧客に対して、入出金の手続きを代行したり金融商品を販売したりなど、地域密着のサービスを提供します。
信用金庫と銀行の違い
信用金庫と銀行のいずれも金融機関ですが、運営目的や対象者などが異なります。銀行は営利法人であるため利益を出すことが目的ですが、信用金庫は地域の利用者・会員の相互扶助を目的とした非営利法人です。
銀行の場合は個人・法人のいずれも顧客の対象となりますが、信用金庫は対象地域に住んでいる、または事業所を持っている人でないと会員になれません。
さらに、事業者の場合は従業員数が300人以下または資本金が9億円以下が組合資格となります。
信用金庫と銀行はいずれも金融機関であるため、その業務内容や利息・金利に大きな違いはありません。
信用金庫によっては地域社会の発展のために、金利が銀行より優遇されるキャンペーンを実施していることが多いです。
信用金庫への就職はやめとけと言われる理由
信用金庫への就職は「やめとけ」と言われる理由には、主に次の内容が挙げられます。
業務量の割に給与が低いと感じる
信用金庫は覚える内容が多く、窓口業務や後方事務など多岐にわたります。信用金庫は非営利法人であるため、銀行と違い利益を目的に運営していません。
その結果、業務量の割に給与が低いと感じやすく不満に思う人は少なくありません。また、年功序列で給与が上がっていく仕組みを採用している傾向にあるため、若手のうちに収入を増やすことが難しい点も理由の一つです。
営利目的に運営されていないことから、仕事を頑張っても収入として還元されないため「やめとけ」という意見に繋がっています。
窓口対応・営業は精神的負担が大きい
信用金庫の業務の中でも窓口対応や営業は精神的な負担が大きいと言われています。窓口業務は対応する範囲が広く、来訪する顧客の種類もさまざまです。
そのため、適切に案内するためには間違いがないように商品や制度、手続きの方法を覚えなければなりません。対応に滞りができればクレームに繋がる可能性があるため、常に顧客を気遣う必要があります。
また、同時に金融商品の案内・売り込みの件数目標が課せられており、精神的な負担が大きいと感じる人は多いです。
このような気遣いやノルマがストレスになることから、就職は「やめとけ」という声が挙がっています。
地域に根差しており休日出勤がある
銀行は土日祝日は営業時間外であるため、休日出勤はほとんど発生しません。その点、信用金庫は地域の住民・事業者の発展のために運営していることから、地域貢献を目的に休日出勤が発生する可能性があります。
信用金庫によっては、休日に窓口相談を受け付けていたりボランティア活動に参加したりなど、地域に根差した業務の一環として出勤しなければなりません。
このように休日も仕事をするとなれば、平日の勤務で蓄積した疲労が回復せず、プライベートの時間も確保しづらくなるため不満の声に繋がっています。
保守的な文化が残りやすい
信用金庫は特定の地域でのみ営業・活動しているため、新しい文化・考え方が入りにくく保守的な社風・古い企業体質が残りやすいです。そのため、上下関係が厳しくIT技術の導入が遅くなる職場は少なくありません。
昔ながらのやり方を重視した旧態依然とした組織になり、紙を使った処理が多いもののITシステムを導入して効率化を図るケースも少ない傾向にあります。
このような保守的な環境では、若手職員の意見が通りにくく古い仕事の進め方に不満を感じることから「やめとけ」という声に繋がっています。
人間関係が限定され居心地が悪く感じる
信用金庫で働く場合、人間関係は事業所単位である程度決まっている傾向にあり、閉鎖的であるため息苦しさを感じる人もいます。
もちろん入社・退職により職員は循環していくものの、そこまで頻繁に起こるものでもないため回転率は高くありません。また、人事異動が起きても基本的に同じ県内の他支店へ移るだけです。
職場の年齢層は幅広く、新卒採用で入社する人数はそこまで多くないことから、若手職員は居心地の悪さを感じるでしょう。
このような限られた人間関係の中で何かトラブルが起きると、長く仕事を続けにくいと思うため否定的な意見が挙がっています。
専門的なスキルが身につかない
信用金庫の主な業務は窓口・事務・営業であり、経験と共に身に付くスキルは自社で扱う金融系の知識に偏ります。
適切に案内するため幅広い知識が求められますが、専門的なスキルは身に付かず、他の職場では通用しにくいです。特に、金融関係以外の仕事への転職難易度は高いといえるでしょう。
将来的に他の業種への転職を希望する場合は、相応の知識やスキルを身に付けなければなりません。
将来性が期待できない
信用金庫の収益は地域顧客への貸出金利・国債などの安定資産の運用によるものであるため、景気などの経済市況による影響は一般的な銀行などよりも少ないです。
そのため、今までは運営が安定していましたが、今後は地域人口の減少やネット銀行の台頭などにより経営が危ぶまれている信用金庫は少なくありません。
実際に支店の数が少なくなることにより、支店長など管理職のポストは減少傾向にあります。ここまでの説明の通り、古い考え方をこれからも続けていくと、より収益は悪化するでしょう。
これらのことから、信用金庫は将来性が期待できないと考える人が増え「やめとけ」と言われています。
信用金庫を辞めるのはもったいない?働くメリット
否定的な意見はあるものの、信用金庫への就職にはメリットが多いため人気があります。ここからは、信用金庫で働く主なメリットを紹介します。
地元に貢献できる
信用金庫は地域に根差して活動をしているため、地元の信金を選ぶことで生まれ育ったエリアに貢献できます。近年ではUターン就職を希望する人は多く、地元で働き貢献できる点は魅力です。
現状では、信用金庫の給与は安定しており社会的な信用も高い傾向にあります。また、人事異動があっても基本的には県内の支店に移るため、遠方に引っ越す心配はありません。
そのことから、地元で働き続けたい・マイホームを購入したいといったライフプランを立てやすい点がメリットです。
金融に関する知識が深まる
信用金庫の業務では専門的なスキルは身に付きにくいものの、金融関連の知識は深まります。また、融資の担当になることで企業の経営に関する知見も身に付くでしょう。
人生におけるお金の悩みは尽きないものであり、融資・為替・投資などの知識が身に付くことで、お金の調達や資産運用が必要な際に役立ちます。自分だけでなく家族が困っているときにも助言できる点はメリットです。
さらに、普段の業務経験を活かし、さらに専門的な分野まで学ぶことで金融業界へのキャリアアップを目指せるでしょう。
社会人としての所作・マナーが身につく
信用金庫の窓口・営業業務では、さまざまな顧客とやり取りをすることから、相談に対し適切な対応、かつ丁寧に案内しなければなりません。その経験を積むことによって社会人としての所作やマナーが身に付きます。
例えば、個人の顧客の中には気難しい人もおり、クレームに繋がらないような対応が要求されます。法人の顧客である社長・経営者と接する機会もあるため、若手のうちから貴重な経験を積めるでしょう。
これらのスキルや経験は多くの企業に求められるものであるため、将来活躍するビジネスパーソンとしての基礎を確立できます。
コミュニケーション能力や営業力が高まる
信用金庫で身に付くスキルは限定的であるものの、業務をこなす中で自然と習得しやすいものです。例えば、窓口業務や営業業務では、さまざまな人と関わるためコミュニケーション能力や営業力が高まります。
ビジネスマナーと同様に、コミュニケーション能力の高い人材を求める企業は少なくありません。信用金庫は個人あるいは法人関係者など顧客の幅が広いため、それぞれに合わせた適切な対応が求められます。
さまざまな人とのやり取りで培ったコミュニケーション能力は、後々の転職活動において、志望先へ自身の強みとして伝えられる要素となるでしょう。
また、営業業務にて成果を上げることにより、転職の際に実績もアピールできます。
信用金庫への就職が向いていない人の特徴
「信用金庫への就職はやめとけ」という意見は、信用金庫との相性が悪い人や向いていない人から挙がる傾向にあります。就職で後悔しないためにも適性の有無を把握しましょう。
信用金庫は非営利法人であり地域に根差した活動がメインであるため、大きな仕事で結果を出したり、若手のうちから活躍したりすることは難しいです。
また、年功序列・保守的な文化の職場であるため、自ら率先して働きたいと考えている人にも信用金庫は向きません。
他にも、クレーム対応や営業ノルマによるストレス・プレッシャーに耐えられない人も避けた方が良いでしょう。
信用金庫への就職が向いている人の特徴
信用金庫への就職に対して否定的な意見がある一方で、適性があり向いている人もいます。例えば、信用金庫は給与や待遇面の安定感があり、安心して働ける点はメリットとして感じられやすいです。
営業ノルマが厳しい支店もありますが、目標を立てて取り組める人はやりがいを感じやすいでしょう。他にも、事業や経営に関わる仕事を希望しており、ビジネスの知識を身に付けたい人にもおすすめです。
また、信用金庫は地域密着型の金融機関であることから「地元に貢献したい」という想いを持つ人は、特にやりがいを感じられるでしょう。
信用金庫を退職した方が良い人の特徴
信用金庫を退職した方が良い人には、主に下記の特徴が挙げられます。
残業が多いことが不満である
信用金庫の種類や支店によっては担当の業務量が多く、残業時間が増えるケースは少なくありません。残業時間が多いと手当が出て収入は増えますが、プライベートの時間が失われてしまいます。
場合によっては休日出勤の回数が増えることで、日々の残業は少なくともプライベートの時間を確保しづらいケースが考えられます。
また、サービスが残業が当たり前になっているなど、労働時間の長さに不満を抱えている人は転職を検討する必要があるかもしれません。
労働時間が長いことを不満に思う人は、残業が少ない職場に転職すると良いでしょう。
体調を崩している
労働環境が自分に合っていない場合、改善がなされずそのまま働き続けると体調を崩すリスクがあります。信用金庫の場合、長時間の残業や業務のノルマ・プレッシャーが体調不良の原因として考えられます。
既に過度なストレスによって体調を崩しやすい人は、症状が悪化して手遅れになる前に仕事を辞めた方が良いでしょう。
給与が少ないことに不満を感じる
同じ金融機関である銀行と業務内容は似ているものの、信用金庫の給与は低い傾向にあります。実際に同じ業務をしていても、信用金庫の給与水準は銀行よりも低いケースは少なくありません。
これは信用金庫が非営利法人であり、顧客は個人や自営業者、零細企業が中心であるためです。大きな利益に繋がる大手企業は対象外であり、利益率が低くなることによって給与への還元が少なくなります。
信用金庫の給与に不満を感じる場合は、培った知識やスキルを活かせる職種に転職すると良いでしょう。
スキル面で転職に不安を感じる人は、ファイナンシャルプランナーや簿記、証券外務員といった資格の取得がおすすめです。
信用金庫を辞めたいと思ったときの対処法
信用金庫への不満が大きくなり、辞めたいと思ったときにはいくつかの選択肢があるため、ここからはその対処法を紹介します。
役員や部長になるまで出世する
現状の過酷な労働環境を変えるためには、役員や部長の立場になるまで出世することも選択肢の一つです。もちろん、歴史がある信用金庫の中の出世競争に勝ち抜くことは簡単ではありません。
しかし、目の前の仕事に誠心誠意取り組み、ノルマをクリアするなど勤めれば出世できる可能性は十分にあります。
責任者や管理職になることで今までと違ったプレッシャーやストレスが発生しますが、収入面での不満は解消できるでしょう。
信用金庫の経験を活かして別業界転職
信用金庫を辞めたいと思った人は、今までの経験を活かし別業界への転職を検討すると良いでしょう。金融関連の知識やコミュニケーション能力などをアピールすることで、別業界へ転職できる可能性は高くなります。
また、融資業務にて地元企業の経営者との人間関係を構築することで、スムーズに転職を実現できるでしょう。同様に地元の優良企業における信頼もあるため、信用金庫出身であることは好印象を与えます。
このように同じ地域の企業であれば別の業界であっても転職しやすいです。
難関資格を取得し独立開業を視野に入れる
信用金庫で培った知識・スキルに加え、金融関連・高難易度の資格を取得して独立・開業することがおすすめです。
例えば、公認会計士や税理士、中小企業診断士などの資格を取得することで、開業に一歩前進します。資格を取得した後は、関連企業へ転職し経験を積みましょう。
今までの知識と資格取得により転職は実現しやすく、十分な経験を積むことで士業としての開業も夢ではありません。
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信用金庫の就職に関するよくある質問
働くデメリットは何ですか?
信用金庫で働くデメリットは、業務量の割に給与を低いと感じやすく、窓口・営業業務による精神的な負担が大きい点です。これは信用金庫が非営利法人であることが大きく関係しています。
信用金庫は個人から中小企業までが顧客であり、地域貢献のために運営されています。そのため、地域貢献を目指す人にとっては適しているでしょう。
他にも専門的なスキルが身に付きにくく転職の不利になるという見方がありますが、金融系の資格を取得することで補完できます。
年収はいくらですか?
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、信用金庫が含まれる協同組織金融機関の平均年収は552万3,600円※です。
※「決まって支給する現金給与額」の12ヶ月分に、年間賞与その他特別給与額を加えたもの。
この調査結果によると、月給(決まって支給する現金給与額)は35万2,100円であり、年間賞与額は129万8,400円です。なお、このデータには信用金庫だけでなく信用組合・労働金庫・農業協同組合なども含まれます。
給与は銀行と比較するとどれくらい低いですか?
同調査によると、銀行業の平均年収は672万400円であるため、その差額は119万6,800円です。
銀行業の月給は42万1,100円であり、年間賞与額は166万7,200円であるため、信用金庫は年間賞与以外は低い傾向にあります。
まとめ
この記事では、信用金庫への就職は「やめとけ」と言われる理由について解説しました。信用金庫は非営利法人であるため、銀行と同じような業務に関わらず給与水準が低いです。
また、職場によっては残業や休日出勤があることが不満に繋がっています。既に信用金庫で働いており不満がある人は、資格を取得して転職を試みると良いでしょう。
信用金庫を目指している人はメリットとデメリットの両面を押さえ、自身の希望を叶えてみてください。
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