社会保険労務士はやめとけと言われる理由は？向いている・向いていない人の特徴や資格取得のメリットなどを解説！

社会保険労務士とは企業が経営するにあたり重要な要素である「人」に着目し、効率化に必要な人事や労務管理などの問題点を指摘し改善に向かうようアドバイスをする役割を担います。

少子高齢化という大きな問題を抱えている日本にとって、社会保険労務士は貴重な存在と言えるのです。しかし、なかには社会保険労務士はやめとけという声も挙がっています。

では、日本において需要のある存在と感じる社会保険労務士に関し、なぜそのようなネガティブなワードが飛び交っているのでしょうか。

そこで今回は、社会保険労務士はやめとけと言われる理由について解説していきます。

また、社会保険労務士に向いている人・向いていない人の特徴、さらには資格取得のメリットなどにも触れていくため、ぜひ参考にしてみてください。

社会保険労務士はやめとけと言われる理由

社会保険労務士はやめとけと言われる理由について、主に下記が挙げられます。

あまり業務について知られていないから

社会保険労務士はやめとけと言われる理由として、どういった業務を担当するかあまり知られていないからという点が挙げられます。

全貌がわからない分、仕事として取り組むことにストップをかけてしまう人が少なくないようです。なお、社会保険労務士の主な業務は1号業務・2号業務・3号業務に分けられます。

1号業務

1号業務は労働社会保険諸法令に基づき申請書等を作成する、申請書等の提出に関して手続きを代行する、事務を代理する、紛争解決手続きの代理業務を請け負うなどが挙げられます。

1号業務は独占業務に該当するため、社会保険労務士の資格がなければ担当できません。なお、紛争解決手続きの代理業務は特定社会保険労務士に限ります。

2号業務

2号業務は労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類等の作成を担います。2号業務についても、社会保険労務士の資格を保有する人のみが担当できる独占業務です。

3号業務

3号業務は事業における労務管理や、その他の労働に関する事項、及び労働社会保険諸法令に基づいた社会保険に関する事項等の相談に応じる、または指導を請け負います。

人事や労務関係の法律を熟知した専門家という立ち位置で、現代において重要性が増してきている点が特徴です。

そういった観点から、3号業務はコンサルティングに該当するため求められる業務を担います。なお、1号業務・2号業務と違い3号業務は独占業務に該当しません。

地味な作業が多いから

社会保険労務士の業務内容は、基本的に労働問題・社会保険に関する書類手続きとなります。そのため、地味な作業が少なくありません。

コツコツと地道に進める仕事が主になることから、やめとけと言われる傾向にあります。華やかな仕事に興味を持っている人にとっては、日々の業務が億劫に感じかねないでしょう。

資格取得が難しいから

社会保険労務士として働くにあたり、資格を取得する必要があります。そして、社会保険労務士試験に合格することは、そう簡単ではないです。

資格取得の難しさは、社会保険労務士になることはやめとけと言われる理由に挙げられます。なお、厚生労働省による発表では、令和2年の社会保険労務士試験の合格率は6.4％となっています。

下記表に社会保険労務士試験の結果概要をまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

受験申込者数	49,250人（うち科目免除者1,082人）
受験者数	34,845人（うち科目免除者834人）
受験率	70.8％
合格者数	2,237人（うつ科目免除者72人）
合格率	6.4％

このデータの通り社会保険労務士の資格は簡単に取得できる訳ではないため、目指すこと自体をやめとけという声が少なくないのです。

将来性が危ぶまれているから

社会保険労務士は将来性が危ぶまれている点も、やめとけと言われる理由になります。これにはAIの発展が関係しており、社会保険労務士の1号・2号業務は代替される可能性が懸念されているのです。

1号業務の申請書等作成・提出といった代行業務、2号業務の帳簿書類等の作成は、AI・IT技術の進歩によって人の手が必要なくなる可能性があります。

ただし、3号業務はコンサルティング領域になることから代替は難しいと言われているため、完全に将来性がない職業ではありません。

社会保険労務士は悲惨な資格？

社会保険労務士資格を取得するには、難易度の高い試験に合格しなければいけません。

厚生労働省によると令和2年度の合格率は6.4％と発表されており、この数値からも決して簡単ではないことがわかります。

そして、苦労の末に社会保険労務士の資格を取得したにもかかわらず、ネット上では悲惨な資格という声が挙げられています。そう言われる所以として、主に下記要素があるため把握しておきましょう。

社会保険労務士として活躍するにあたり、資格の有無ではなく実務経験を重視される傾向にあります。即戦力を求めている企業からすると、実務経験をどれだけ積んでいるかは非常に重要です。

もちろん、資格を取得しなければ社会保険労務士として従事できないため必要ではあるものの、いざ取得しても勤務先が中々決まらない事態に陥りかねないのです。

また、社会保険労務士の求人数は決して多いとは言えません。そのため、難易度の高い試験に合格したにもかかわらず、就職に一苦労することが悲惨と言われる理由の一つです。

そして、社会保険労務士を志す人が増加傾向にあることから、就職にあたり競争が激化している点も懸念される要素となります。

社会保険労務士はやめとけと言える向いていない人の特徴

社会保険労務士はやめとけと言える、向いていない人の特徴として主に下記が挙げられます。

計算を億劫に感じる人

社会保険労務士の業務には帳簿作成や社会保険関係などを扱うため、計算は必須と言えます。つまり、計算が苦手で億劫に感じる人にとっては向いていないと言えるでしょう。

昔から算数・数学などが苦手で避けてきた人にとって、それらを頻繁に扱う世界へと飛び込むことはストレスに繋がりかねません。

単純作業が苦手な人

社会保険労務士は企業が提出した書類を確認するという、事務作業が多いです。日々チェックを繰り返すといっても過言ではないため、単純作業が苦手な人は苦痛となりかねません。

仕事に刺激を求める人、ルーティンワークは避けたい人にとっては、物足りなさを感じる可能性はゼロではないでしょう。

単純作業が続くため、集中力の維持が苦手な人も向いていないかもしれません。集中力が散漫になると、ミスが多発する場合があります。

人と話すことが得意でない人

社会保険労務士のなかでも、3号業務はコンサルティングを担当します。そのため、コミュニケーション能力は必須といっても過言ではありません。

つまり、人と話すことがあまり得意ではない人にとって社会保険労務士は不向きな職業となる恐れがあるのです。

発生した問題に対し専門知識を用いて解決に導くといった業務もあるため、そういった場面でもコミュニケーションは欠かせません。

やめとけと言われる社会保険労務士に向いている人の特徴

一方で、やめとけと言われる社会保険労務士に向いている人の特徴として主に下記が挙げられます。

辛抱強く細かい業務に打ち込める人

社会保険労務士の業務は企業規模によっては膨大な量を請け負うことになります。企業規模が大きければ、それだけ扱う書類の数は多くなるため、作業量は凄まじいケースに陥りかねません。

そのため、辛抱強く細かい作業を一つ一つ打ち込める人は、社会保険労務士が向いていると言えます。単純作業も厭わない、強い精神力は欠かせない要素です。

継続して細かい作業に打ち込めるということは、集中力があるとも言えます。地道に集中を切らすことなく、ミスを起こさず業務に従事できる人は、企業にとって重要な戦力となるでしょう。

数字に強い人

社会保険労務士の業務において数字を扱うことが多いです。そのため、計算が得意、数学が昔から好きなど数字に強い人は向いています。

社会保険労務士の業務的に数字を扱うことは多いため、苦手意識がない点は欠かせない要素と言えるでしょう。

法律・社会保険制度に関心がある人

社会保険労務士は扱う書類等の兼ね合いから、法律や社会保険制度に対する知識が求められます。そのため、法律や社会保険制度に対して関心・興味がある人は向いていると言えるでしょう。

関心がなければ、法改訂が施行されたり何か新たな情報が舞い込んできたりする点に対し、アンテナを張っておけないといっても過言ではありません。

コミュニケーション能力を有する人

社会保険労務士の業務において、コンサルティング要素を担う際はコミュニケーション能力は必須です。多くの人と打ち解けて話せる能力は、コンサルという立場において欠かせません。

また、企業で発生する問題を解決するにあたって、様々な人とやり取りをすることになります。企業や担当者に対し、いかに寄り添えるかは社会保険労務士として重要です。

物事をはっきりと正せる人

社会保険労務士は誤りを正すことも含まれます。そのため、間違いを正すよう物事をはっきり言い放てる性格であることも、社会保険労務士に向いている人の特徴です。

社会保険労務士が担当する業務には、法律が関わってくることが少なくありません。つまり、誤りを正さなければ法律違反となるため、いわば犯罪を犯していることになるのです。

物事をはっきりと正せないことは、クライアントに多大な迷惑をかけてしまいます。クライアントにいくら要望をされたとしても、正しい道を提示する必要があるのです。

企業の成長に一役買って出たい人

社会保険労務士の業務にはコンサルティングが含まれています。つまり、企業の成長に向けて一役買って出たいという考えを持っている人は向いている職業と言えるでしょう。

企業が抱えている問題に対して真剣に向き合い解決し、より良い方向へ進んでいってもらいたいという想いを持っている人は、社会保険労務士が天職といっても過言ではありません。

社会保険労務士の資格取得で人生が変わる？取得するメリット

社会保険労務士として活躍するには難易度が高い試験に合格しなければいけないものの、その後の人生を大きく変えるといっても過言ではない魅力的な資格です。

資格取得による主なメリットに下記が挙げられるため、ぜひチェックしておいてください。

キャリアアップ・収入アップが期待できる

社会保険労務士の資格を取得することで、企業から求められる存在となる可能性に期待ができます。故に、キャリアアップに繋がる場合があるのです。

企業からすると労務のプロという貴重な人材でもあることから、手放したくない点を踏まえ年収アップという対応を取ってくれることも十分にあり得ます。

そして、社会保険労務士の資格を取得している人に対し、資格手当を支給する企業も少なくありません。

求められる存在であることは、これからキャリアを積み上げていくにあたりメリットしかないといっても間違いではないでしょう。

社会保険労務士のみが担当できる仕事がある

社会保険労務士が担う仕事内容には、独占業務と定められているものがあります。1号業務・2号業務が独占業務に該当するもので、主に下記内容となっているためチェックしておきましょう。

上記は企業として必ず実施しなければいけません。そのうえで社会保険労務士の独占業務であることを踏まえると、需要は安定していると言えます。

実生活にも役立つ可能性を秘めている

社会保険労務士の資格を取得することで、実生活にも役立つ場合がある点はメリットに挙げられます。例えば、社会保険制度に対して深い知識を習得できる点は、資格を取得したからこそです。

きちんと制度について理解をしなければ、申請のうえで助成を受けられないケースは決して珍しくありません。つまり、精度について知らないために勿体ないことをしている可能性があるのです。

労務関係・法律・年金など、社会保険に関する知識に詳しくなることは、自分自身はもちろん大切な家族を守ることにも繋がります。

社会保険労務士はやめとけに関するよくある質問

まとめ

この記事では、社会保険労務士はやめとけと言われる理由や、向いている人・向いていない人の特徴、さらには資格取得のメリットなどを解説しました。

社会保険労務士の業務はあまり知られていない、地味な作業が多い、資格取得が難しい、そしてAIの発展により将来性が危ぶまれているなどが、やめとけと言われる理由に挙げられます。

なお、数字に強い人や法律・社会保険制度に関心を持っている人は社会保険労務士に向いているでしょう。一方で、計算が億劫、人と話すことが苦手といった人は向いていない可能性があります。

資格取得は簡単ではないものの、試験に合格するとキャリアアップ・収入アップが見込めたり、独占業務を持っていることから需要が安定していたりという点はメリットです。