人事異動がつらいと感じる理由は？不安を解消する方法も紹介

一定以上の規模の会社に勤めていると定期的に人事異動が発生します。

しかし、人事異動により配属先が変わると今までと異なる仕事を覚えなければならないため、人事異動に不安を感じたりつらいと思ったりするケースは珍しくありません。

では、どのような点に不安を感じており、どのようにすればつらい思いを解消できるのでしょうか。

そこで今回は、人事異動がつらいと感じる理由を解説します。あわせて不安を解消する方法も紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。

人事異動を命じられる背景・要因

人事異動はさまざまな要因によって発生するため、避けられるものとそうでないものがあります。人事異動の主な背景・要因は次の通りです。

欠員が出た部署の補充

人事異動は欠員が出た部署の補充のために実施されるケースが多いです。企業の運営において退職者や休職者が出る可能性は常にあり、そのままの状態にしておくと特定の部署だけ人員不足が続いてしまいます。

新卒採用を毎年実施している企業でも入社後は研修があり、戦力となる人材へと成長するためには時間がかかるでしょう。そのようなときに、人事異動によりゆとりがある部署から人材を補充します。

中途採用で人員を補充するケースもありますが、自社についてよく知っている人の方が迅速に対応できることもあり異動が命じられます。

組織の活性化

組織の活性化のために人事異動が起こることもあります。他部署の社員を迎えることにより客観的な視点や新しい発想を取り入れられるため、組織としてレベルアップできるでしょう。

他にも、ジョブローテーションにより企業について深く知り、社員同士の交流が活性化することで部署間の連携が円滑になるメリットもあります。

さらに業務の属人化を防ぎ、急な欠員が出た際にも企業の運営を保ちやすくなる点も魅力の一つです。メンバーが入れ替わることによって部署の雰囲気が変わり、新しい気持ちで業務に取り組めるでしょう。

適材適所の人員配置の実現

上司や人事部門は社員を適切に評価し、培ったスキルや能力を把握しています。しかし、社員の最適な部署や業務は、実際に働いてみないと分かりません。

適材適所の人員配置を実現するために定期的な人事異動を実施し、その際の実績を評価します。また、特定の部署の業務に携わることによってスキルが身に付き、他の部署で活用できるケースも多いです。

例えば、営業部門に配属されることにより、顧客のニーズを把握したりプレゼンテーション能力を身に付けられたりします。

そこから、企画やマーケティング部門へ配属になることで、今までよりも顧客に課題を解決する企画を立案し、有効なプレゼンを実施できるでしょう。

このように、人事異動を経て社員はレベルアップするため企業の成長にも貢献します。

起こした問題の処分や能力不足

会社で何かトラブルを起こしたときや、今の役職・部署に適さない能力であると判断されたときにも人事異動が発生する可能性はあります。

これはいわゆる「左遷」であり、今よりも低い地位・役職への異動や、仕事が少ない部署へ配置転換されるケースが多いです。

左遷の原因は仕事の重大なミスや能力不足であり、会社にとって不利益をもたらす結果になると処分の方法の一つとして人事異動が起こります。

また、パワハラやセクハラなどによる人間関係のトラブルを起こした場合、当該社員同士の距離を空けるためにどちらかが異動の対象となります。

人事異動がつらいと感じる理由

人事異動がつらいと感じる主な理由は次の通りです。

仕事を最初から覚えなければいけない

人事異動により関連性が低い部署へ配属になると、一から仕事を覚えなければなりません。もちろん、どの部署にも共通している業務はありますが、中核を担う仕事は新人と同じように覚える必要があります。

また、部署へ配属されてからは研修・社内教育を受ける機会はあるものの、新しい業務内容を覚えることに抵抗感を覚える人もいるでしょう。

特に異動前の職場で誠心誠意努めていた人であれば、部署が変わることでモチベーションが低下するケースも少なくありません。

思い描いていたキャリアプランが実現できなくなる

急な人事異動により、目標として思い描いていたキャリアプランが崩れてしまうケースもよくあります。

例えば、新商品の開発部門で優秀な実績を残し同部署で出世を目指していた人が、人事異動により営業部門や総務部門などに配置されると希望が絶たれた気持ちになるでしょう。

もちろん希望を出したり働き続けたりすることにより、元の部署に戻れる可能性はあります。他の部署を経験することで成長し、より出世に近づくかもしれません。

しかし、興味・関心がない部署への異動が決まると、モチベーションは低下し今までと同じように働けなくなることがあり得るのです。

新しい人間関係がストレスになる

人事異動によって部署が変わることにより、人間関係もリセットされます。今までの仕事と関連する部署であれば、仲が良い社員がいる可能性もありますが、全く知り合いがいない職場に配属されることもあるでしょう。

仕事をする上で人間関係は重要な要素であり、パフォーマンスに大きく影響します。また、良好な人間関係を築けないことが原因で退職・休職する人も少なくありません。

このように人間関係を再構築する負担や、良好な関係を築けずトラブルに発展することにより「つらい」と感じやすいです。

勤務地が変わることがある

全国に支店・店舗がある企業であれば、人事異動により勤務地が変わる可能性もあります。今まで本社に勤めていた人でも、場合によっては地方で生活することになるでしょう。

引っ越し費用などは会社側が負担してくれるケースが多いですが、新しい地域で暮らすことに抵抗がある人は少なくありません。

先程のように、人事異動によって人間関係はリセットされますが、転勤になるとプライベートにも影響があります。特に、結婚して家庭を築いている人やマイホームを購入した人にとって負担は大きいでしょう。

異動の回数が多く負担が大きくなる

勤めている企業によってはジョブローテーションに積極的であるため、短期間で何度も異動が起こり得ます。

異動して仕事に慣れてきた頃合いに、また別の部署へ配属されることになれば大きな負担になるでしょう。

新しい仕事を覚え続ける必要があり、人間関係にも慣れてきたときに再び移動になれば「つらい」と思う人は多いです。

また、短期間に異動が多い場合は十分なキャリアの形成に結びつかず、転職を考えた際には不利な要素になります。このケースでは転職できず、自社でしか通用できない人材になりかねません。

人事異動の不安を解消する方法

人事異動の不安を解消する主な方法は次の通りです。

新しい職場の同僚の名前と顔を覚える

人事異動では新しい職場の人間関係に悩む人が多い傾向にあります。そのため、円滑にコミュニケーションを取れるよう、まずは同僚の名前と顔を覚えましょう。

名前と顔を覚えるだけでも多少の不安は解消され、分からないことがあったときに話しかけやすいです。異動してからすぐにコミュニケーションを図れると、人間関係の不安を取り除けます。

以前のやり方にこだわるのはやめる

異動により職場・業務内容が変わったのにもかかわらず、以前のやり方にこだわっていると失敗することがあります。以前のやり方が悪いのではなく、現在の業務に合っていないためです。

円滑に業務を進めるためには以前のやり方を一度リセットし、新しい業務の方法を身に付けると良いでしょう。そのためにも、異動直後は素直な気持ちで仕事の進め方を教えてもらうべきです。

また、今までのやり方に固執し、新しい職場で受ける助言に反発すると良好な人間関係を構築しづらくなります。素直にアドバイスを受け入れる人の方が、新しい環境に馴染みやすいでしょう。

交流しやすい人を見つける

人事異動に不安を感じている人は、新しい環境の中で話しやすい人を見つけることがおすすめです。交流しやすい人を見つけると、新しい職場で分からないことがあっても質問しやすいです。

このような人をきっかけに、新しい職場でも良好な人間関係を築きやすくなります。

新しい上司とコミュニケーションをとる

新しい職場に移ったときは、異動先の上司と積極的にコミュニケーションを取りましょう。上司との関係を良好に保つことにより、不安を解消したり適切なサポートを受けられたりします。

もし異動でつらい思いをしていたり悩んだりしているときは、新しい上司に相談することで解決することも少なくありません。悩みを相談するときは「新しい職場で頑張りたい」という気持ちを伝える必要があります。

無理せずに気楽な姿勢で業務に臨む

人事異動の直後に頑張り過ぎてしまい、必要以上に疲れたり精神的に消耗したりするケースは多いです。そのため、無理をせずに気楽な姿勢で業務に臨むと良いでしょう。

もちろん、今までと違う仕事になるため付いていけないと感じて焦ることもあります。しかし、そのままの状態では空回りしてしまい、思いがけないミスをしやすくなります。

まずは新しい職場に慣れることを最優先にし、徐々に仕事を覚えましょう。

資格取得などで業務に馴染む

業務に対して不安がある場合は、新しい職場で役に立つ資格を取得するなど、具体的なアクションを起こすことで解消に繋がる可能性があります。

人事異動はその内容が公表されてから実際に職場が変わるまで時間がかかります。その間に、引き継ぎを的確に行う必要がありますが、同時に資格取得に向けて勉強すると良いでしょう。

タイミングによっては試験日に合わないこともありますが、勉強して得た知識は無駄になりません。その勉強した成果を新しい職場に活かしましょう。

人事異動を前向きに捉える方法

人事異動がつらい場合は、考え方を変えて前向きに捉えましょう。ここからは、ポジティブに捉えるうえで必要な考え方や方法を紹介します。

異動をきっかけにキャリアプランを見つめ直す

人事異動は自分のキャリアプランを見つめ直す良いきっかけになります。今までの部署から離れることにより新しい仕事を覚える必要があり、人間関係がリセットされるなど失うものが大きいです。

また、人事異動によって企業による自分への評価を垣間見えます。このようにデメリットが多く見えますが、この機会を利用し今後の人生設計を見直すきっかけになります。

もし会社の将来性に不安がある場合は転職を視野に入れてみましょう。自分のやりたいことを叶えるために人事異動をきっかけに挑戦をすることで、新しい人生を歩めるかもしれません。

得られるメリットを整理する

人事異動は悪いことばかりではなく、自分の人生にとってプラスに働く場合もあります。例えば、さまざまな部署・業務を経験することで視野が広がり、新しい発想が生まれやすくなります。

同じ部署に居続けて成長が止まっている場合は、人事異動によりレベルアップできるケースもあるでしょう。

実際に、将来の幹部候補にはさまざまな経験を積ませたいと考え、配置転換を実施する企業は少なくありません。場合によっては、数年後のキャリアに必要な人事異動もあります。

このような人事異動のメリットを整理することで、前向きな気持ちになりモチベーションを維持しやすくなるでしょう。

人事異動がつらいときにできること

人事異動がつらいときにできる主な対策は次の通りです。

上司に相談する

人事異動がつらく悩んでいるときは、一度上司に相談をしましょう。異動先は会社の裁量によって決まりますが、配属先では直属の上司が自分のことを評価します。

異動に失敗しパフォーマンスが低下したり退職したりすることは、企業側にとっても本意ではありません。実際に、我慢して働き続けて体調を崩す可能性もあります。

また、異動してから早い段階で相談を繰り返すことで、元の部署に戻れるケースはゼロではありません。しかし、単なる我儘と捉えられてしまう可能性がある点には要注意です。

上司へ相談するときは、どのようなことがつらく、何に悩んでいるのかを明確に伝えましょう。そのうえで、再度配置転換を希望する際は正当な理由もあわせて説明してみてください。

覚悟を決めて本気で仕事に取り組んでみる

異動がつらい場合でも元の職場へ戻れないときや、会社を辞めることも難しいケースでは、覚悟を決めて本格的に仕事に取り組むと良いでしょう。

会社側から解雇されたり減給などの処分を受けたりしたわけではないため、そのまま働き続けることにより視野が広がるというメリットがあります。

覚えた仕事や人間関係がリセットされたことがつらい場合は、新入社員時代など初心に立ち返り新たな気持ちで挑戦してみてください。

また、人事異動によって新しい価値観に出会い、興味・関心の幅が広がるといった魅力もあるため、前向きに捉えて仕事を継続することがおすすめです。

異動の不満を払拭できない場合は転職する

どうしても人事異動の不満を払拭できない場合は、その職場を辞めて転職に挑むことも効果的な選択です。人事異動は会社の決定であるため、自分一人の力で打開することは難しいでしょう。

人事異動に不満があり自身の希望を実現できない場合は、より良い条件の会社を探し転職を成功させることで悩みを解決できます。

転職が初めての人や不安を抱えている人は、無料で利用可能な転職エージェントの活用がおすすめです。

転職エージェントを利用すると希望に合った求人を紹介してもらい、応募書類の添削や面接対策などのサポートも受けられるため効率良く選考を進められます。

次の人事異動を待っても必ず希望が通るわけではありません。それまでの期間が無駄と感じるようであれば、転職にチャレンジしてみることも一つです。

異動がつらいと感じる場合によくある質問

まとめ

この記事では、人事異動がつらいと感じる理由を解説しました。人事異動は今まで覚えた仕事や構築した人間関係がリセットされるため、つらいと感じる人は多いです。

異動の不安を解消するためには人事異動の目的を理解し、新しい職場に慣れるところから始めると良いでしょう。また、人事異動を前向きに捉えることも重要です。どうしても不満がある場合は、転職して新しい環境にチャレンジしてみてください。