転職は逃げるが勝ち？逃げてはならないといわれる理由なども解説

今の職場に不満があり転職を考えていると、「転職は逃げ」と言われることは珍しくありません。実際、転職により職場・業務の問題を解決する人に対し、ネガティブな印象を持つ人は少なくないです。

しかし、自分の人生を第一に考えたとき、転職をして逃げた方が良いこともあります。そのため、転職を考えている人はその判断基準を押さえておきましょう。

そこで今回は、転職は逃げるが勝ちと言われる理由を解説します。また、逃げてはならない理由やパターンについても触れていくため、ぜひ参考にしてみてください。

転職は逃げるが勝ちと言われる理由

転職ら逃げるが勝ちと言われる主な理由は次の通りです。

環境を変えたい思いは甘えではない

「逃げの転職」についてネガティブな印象を持つ人は一定数いますが、環境を変えたいという思いは決して甘えではありません。

これは、立場によって視点が変わり、「逃げの転職」に対する捉え方が変わるためです。例えば、上司や会社側の視点であれば「嫌なことがあったから逃げる」というネガティブな見方になるでしょう。

その一方で、転職者の立場になれば「自身のキャリア」や「人生で優先するべきもの」という視点で考えると、職場を変えることは逃げではありません。逃げの転職へのためらいが強い人は、自分ではなく他者の視点を気にしすぎているといえます。

実際に、仕事や職場に対する不満やストレスが原因で転職する人は多いです。このようなネガティブなことがきっかけで転職し、結果としてキャリアアップや収入アップ、人生の幸せを掴む人は少なくありません。

今の状況を整理し自分の人生を優先した結果、転職を選んだのであれば間違いにはならないでしょう。

苦痛な時は逃げても良いことがある

転職で今の状況から逃げることは、「社会人として失格」と捉える人は少なくありません。しかし、職場のストレスや苦痛に耐えきれない場合は、最後の手段として「逃げる」ことも選択肢の一つです。

転職をして職場から逃げる場合は、適切な手続きを踏まなければなりません。法律では、退職の意思を伝えてから2週間経過することで会社を辞められると定めています。また、退職は労働者の権利であるため、会社側は原則として拒めません。

ただし、繁忙期の最中など明らかに会社側の都合が悪い場合は、スムーズに退職できないこともあるでしょう。転職で今の環境から逃げる場合は、タイミングや会社の辞め方を考える必要があります。

一方で、セクハラやパワハラなど会社側に問題がある場合や、業務を続けられないほど心身の状態が悪化しているケースでは、すぐに退職できることもあります。

自分の身は自分で守るしかないから

会社や業務が問題で怪我・病気になった場合、企業はそれを保障する義務がありますが、その後の人生まで面倒を見てくれるわけではありません。例えば、長時間労働が原因で体調を崩し仕事ができなくなった場合、退職後の人生は自分で何とかする必要があります。

現在の労働状況で働き続けると、うつ病や過労死に繋がるリスクがある場合は、自分の身を守る意味でも退職・転職を検討した方が賢明です。

逃げの転職で失敗するリスクが大きい人のタイプ

逃げの転職で失敗するリスクが大きい人の主なタイプは次の2つです。

他責思考が強すぎるタイプ

他責思考が強すぎる人は、転職で失敗するリスクが大きい傾向にあります。例えば、「会社が悪い」「扱う商材の魅力が足りない」「評価制度が悪い」など、全ての責任は自分以外にあると考える人です。

これらの不満解消を目的に転職活動を始めても、面接などではネガティブな内容を話すことになるため、なかなか上手く進められないでしょう。

また、無事に転職できたとしても新しい会社で同様の不平不満を抱き、転職を繰り返すケースも珍しくありません。

自責思考が強すぎるタイプ

その一方で、自責思考が強すぎる人も選考で効果的なアピールができず、転職活動が上手くいきにくいです。「逃げの転職を選んだ自分が悪い」と思い自己肯定感が低くなると、面接の場で十分な力を発揮できません。

仮に転職できたとしても自信のなさが原因で新しい職場で力を発揮できず、挫折を感じて転職を繰り返す可能性もあるでしょう。

このようなリスクを避けるためには、現在の状況と自身の反省点の両方を整理し、「自分が今よりも活躍できる新たな環境」を探す必要があります。

逃げの転職は成功しないと言われる理由

逃げの転職は成功しないと言われる主な理由は次の通りです。

「辞め癖」が付きキャリアを形成できない

「逃げの転職」は決して悪いわけではありません。しかし、先程の通り他責思考が強い人は一度逃げると次の会社でも辛いことがあればすぐに辞める「辞め癖」がつく場合があります。

実際に転職回数が多くなるほど企業側の印象は悪くなり、それ以降の転職は厳しくなります。また、短期間で転職を繰り返した場合はスキルを磨いたり経験を積んだりができないため、年齢に相応しいキャリアを形成することが難しくなるでしょう。

他の会社に行っても通用しない可能性がある

逃げるように転職をしても、自身の能力や実績によっては他の会社に行っても通用しない可能性があります。一般的に「転職するまでに3年は働くべき」と言われますが、これは業務をこなすスキルを身につけるためです。

新卒で入社をしてから3年以内に辞めた場合は第二新卒として転職活動ができますが、それ以降は年齢に適した能力が重視される傾向にあります。そのため、十分なスキルや経験がない人が逃げの転職を試みても失敗する可能性が高いのです。

一つの会社で最後まで勤め上げた方が負担が少ない

一つの会社で最後まで勤め上げた方が負担が少ないことも、逃げの転職が上手くいかないと言われる理由の一つです。転職をする度に一定期間のブランクが生じたり、金銭的な負担が増したりすることから、転職自体にマイナスな印象を持っている人は少なくありません。実際に、一つの会社で定年まで勤め上げることが一番良いと考えている人もいます。

転職に失敗すると今よりも条件が悪くなる可能性がある

現在の職場が劣悪な労働条件でない限り、実績がない人が転職をしても今より良い条件の会社に転職できる可能性は低いです。特に中途採用は即戦力を求めており、年齢によってはリーダーや管理職の経験がある人を欲しています。

このような人であれば転職によりキャリアアップ・年収アップを狙いやすいですが、企業が求める能力に達していなければ収入ダウンも十分に考えられるのです。

逃げの転職をすべきパターン

逃げの転職をすべきパターンは、激務やハラスメントが原因でこのまま働き続けていると心身の健康を損なうリスクが大きい場合です。

先程の通り、病気になると長期間仕事ができなくなる可能性があり収入が途絶えてしまいます。基本的に、企業は退職した従業員の面倒を見ません。

例えば、明らかにブラック企業である場合、長時間労働やサービス残業により疲労とストレスが蓄積し、他の会社に通用する能力を身につける前に体調を崩すリスクが高いです。

他にも給与の不払いがあるなど、経営難により将来性が期待できない場合も自身のキャリア形成の障害となるため、すぐに転職をした方が良いでしょう。

転職して後悔しないために確認すべきこと

転職して後悔しないために確認すべきことは次の通りです。

どうしても改善できない不満かどうか

転職を考える人のほとんどは今の職場に何らかの不満を抱えています。しかし、自分の努力次第で改善できるものでも、転職により「職場を変える」という選択で解決すれば、次の会社でも同じ問題に直面したときに対応できません。

その結果、辞め癖がついてしまい転職を繰り返すことになりかねないのです。そのため、まず現状の不満や問題を整理し、解決策を考える必要があります。

例えば、人間関係の問題であれば上長に相談したり、配置転換を提案したりすることで解決できる可能性があります。他にも、給与面に不満がある場合は、どのようにすれば昇給できるかを上長に確認してみましょう。

昇進・昇給までの道筋が明確になると仕事に対するモチベーションが上がり、転職をせずに済む場合があります。

現状で成長できる余地はないのか

現在の環境で自身が成長できる可能性があれば、転職をせずに働き続けた方が良い場合があります。もし成長できる余地があれば、もう少し働くことで転職で有利になる経験を積めるケースがあるでしょう。

このように、自身の成長と抱えている不満を天秤にかけ、転職するかどうかを判断すると失敗に繋がりにくいです。

やりたいことや叶えたい働き方を実現できるか

転職により職場が変わると大きな負担が伴うため、今の環境でやりたいことや叶えたい働き方を実現できるかを確認しましょう。現状の不満や不安が明確にあったとしても、具体的に実現したい働き方を問われたときに応えられない人は少なくありません。

このような状態で転職をした場合は本当の希望を叶えられず、同様の不満を抱える可能性が高いです。転職を考える際は、具体的な行動を起こす前に自分のやりたいことや実現したい働き方を考える必要があります。

逃げるが勝ちでも転職できない原因

逃げるが勝ちでも転職できない主な原因は次の通りです。

日本特有の文化が影響している

辞めたくても辞められない要因は、日本特有の文化が影響しているといわれています。欧米と異なり日本は島国であり、人間関係がオープンではなく閉鎖的になりやすいです。普段の生活でも村単位の組織が形成されており、その集落内での仲間意識や絆が深くなっています。

その結果として仲間意識が顕著になり、和を乱す者は排除しようという考え方を持つ組織があるのです。また、組織を構成する人も秩序を乱さないように行動する傾向があるため、辞めようと思っても思い留まるケースがあります。

「転職は逃げ」だと脅されている

会社を辞めようとしたとき、上司などから「転職は逃げ」と脅されるケースは珍しくありません。他にも、「今の会社でダメなら他でも通用しない」と引き止められることもあるでしょう。

もちろん転職が適切ではないケースもありますが、脅すことで会社にとって重要な人材の流出を防ごうとするケースもあるため注意してください。

退職に踏み切る勇気がない

今の労働環境が悪く転職をした方が良い場合でも、退職をする勇気がなく行動に移せないケースがあります。例えば、普段から上司などにひどい叱責を受け続けていると、やがて自信を持てなくなるでしょう。

このような状態では、他の会社で活躍できるスキル・能力があっても「自分なんかではダメだ」と思い、退職・転職に踏み切れなくなるのです。

ブラック企業で退職を認めてもらえない

勤務先がブラック企業の場合、退職を認めてもらえないケースがあります。実際に、人材不足が課題の企業であれば欠員を防ぐために、意図して辞めさせない振る舞いをすることがあるのです。

例えば、会社を辞める場合は退職の旨を上長に伝える必要がありますが、その機会を一切作らないようにしたり、先程と同様に引き止められたりします。特に悪質な場合は、欠員が出たことによる損害賠償を請求する企業も珍しくありません。

どうしても辞められない場合は退職代行の利用がおすすめ

勤めている会社がブラック企業であれば、脅されるなどして辞められないケースがあります。どうしても退職できない場合は、代わりに会社を辞める旨を伝えてもらえる「退職代行サービス」を利用しましょう。

退職代行サービスは、本人に代わり退職の手続きを進めてくれるサービスです。引き止めに遭っているなど辞められない場合に利用することで、スムーズに退職できます。

利用料金は発生しますが余計な心身の負担が軽減し、次の一歩を踏み出しやすくなるでしょう。ただし、退職代行の種類によってサービス内容が異なるため、リサーチは欠かせません。

もし有給休暇の消化や未払いとなっている賃金の支払いを求めるために会社側と交渉がしたい場合は、労働組合や弁護士が運営する退職代行に依頼しましょう。運営元によって対応範囲が異なり、それに伴って費用も変わるため、依頼先は慎重選んでください。

逃げるが勝ちでも辞められない場合におすすめの退職代行

すぐに会社を辞めたいなら『リーガルジャパン』

リーガルジャパンは労働組合の「日本労働産業ユニオン」が運営しているため、会社側と交渉したい場合に有効なサービスです。24時間対応であることからいつでも相談ができ、即日退職も実現できます。

また、LINEでのやり取りが可能なため、気になったことや不安な点を気軽に相談できます。退職後のサポートも提供しているため、次の一歩を踏み出しやすいです。

料金（税込）	25,000円※別途労働組合加入費2,000円が必要
最短即日対応の可否	可能
対応地域	全国
運営元	日本労働産業ユニオン

連絡がスムーズな『トリケシ(TORIKESHI)』

TORIKESHIもリーガルジャパンと同じ「日本労働産業ユニオン」が運営する退職代行サービスです。LINEを使って相談や依頼ができるため、やり取りがスムーズな点が特徴です。

退職実績は3,500件以上で、弁護士監修のサービスなため安心感があります。即日退職に対応する他に有給休暇の取得サポートも実施しており、充実したサービスを提供しています。

料金（税込）	25,000円
最短即日対応の可否	可能
対応地域	全国
運営元	日本労働産業ユニオン

料金を抑えたい人におすすめの『退職代行ネルサポ』

ネルサポ退職代行サービスは「合同労働組合ユニオンネルサポート」が運営している退職代行サービスです。弁護士監修で退職成功率は100％であるため、実績は十分なことから安心して利用できます。

会社との交渉が可能であり、現在はキャンペーン価格として一律22,000円（税込）で利用できるため料金を抑えたい人におすすめです。

料金（税込）	一律24,000円（キャンペーン価格一律22,000円・リピーター限定一律20,000円）
最短即日対応の可否	可能
対応地域	全国
運営元	合同労働組合ユニオンネルサポート

逃げの転職を成功させるために転職・退職理由を伝えるポイント

逃げの転職を成功させる理由を伝える主なポイントは次の通りです。

退職理由と転職理由は別物と考える

まず、転職活動に臨む際は退職理由と転職理由は別物と認識しましょう。基本的に退職を決意したきっかけや理由など「過去の事象」が退職理由であり、転職によって実現したい「未来の事象」が転職理由となります。

面接では基本的に転職理由を問われるため、ネガティブな内容を伝える必要はありません。

転職理由はポジティブなものに変換する

転職理由を伝える際は、極力ポジティブなものに変換しましょう。また、自分の中にある転職理由を明らかにするためには、退職理由となる不満・不安などの背景を考えることがポイントです。

例えば、「収入が低い」ことの背景には「年功序列で成果を上げても評価されにくい」という会社側の体制に問題がある可能性があります。このような自分の不満を深掘りすることで、転職で実現したいものが明確になります。

そうすることで、ネガティブな退職理由をポジティブな転職理由に変換しやすくなるでしょう。先程のように収入面に不満がある場合は、「成果が反映される環境でモチベーションを上げたい」とすると有効です。

面接では2：8の割合を意識する

一般的に退職理由はネガティブなものであるため、多くを語ると印象が悪くなりかねません。そのため、面接などでは退職理由2割、転職理由8割といったバランスを意識しましょう。

実際にネガティブな退職理由を隠し、良いことだけを伝えると説得力がなくなります。事実を交えた退職理由をある程度混ぜ、実現したいことを転職理由として伝えてみてください。

効率を求めるなら転職エージェントの利用がおすすめ

退職・転職を検討している場合は、極力早めに転職エージェントへの登録をおすすめします。転職エージェントは無料で登録でき、現在の不満や悩みを解決するためのサポートを受けられるサービスです。

具体的には希望条件に合った求人の紹介や応募書類の添削、面接対策などを受けられるため、効率良く選考を進められるでしょう。なお、転職エージェントにはさまざまな種類があるため、目的に合ったものを選ぶ必要があります。

転職を考える際におすすめの転職エージェント

求人数が充実している『リクルートエージェント』

リクルートエージェントは株式会社リクルートが提供する転職エージェントです。転職エージェントの中でも特に求人数が多く、自分に合った仕事を見つけやすいです。

また、キャリアアドバイザーによるサポートが手厚く、しっかりと対策をした上で選考に臨めるため、転職が初めての人でも安心感があるでしょう。

リクルートエージェントの公式サイト内には転職に役立つコンテンツも豊富にあり、自分一人でも対策ができます。

運営会社	株式会社リクルート
公開求人数（2024年1月13日時点）	364,247件
対応地域	全国
職種	全職種
種類	総合型

自分に合ったサポートを受けられる『マイナビAGENT』

マイナビAGENTは株式会社マイナビが提供しており、2023年の「オリコン満足度調査」の転職エージェント部門では、総合ランキング第1位を獲得しています。

さらに、利用者の転職回数や年代を考慮したサポートを受けられるため、今の状況に合った対策が可能です。担当者から効果的なアドバイスを受けられるため、転職が逃げだと思っていても安心して利用できるでしょう。

また、業界の採用事情に詳しいアドバイザーが在籍しているため情報収集も捗ります。

運営会社	株式会社マイナビ
公開求人数（2024年1月13日時点）	51,761件
対応地域	全国
職種	全職種
種類	総合型

自分のペースで転職活動を進めるなら『doda』

dodaはパーソルキャリア株式会社が運営する転職エージェントです。転職エージェントでありながら、転職サイトのように求人を検索し自分で応募できる点が特徴です。

自分のペースで転職活動を進めやすいですが、エージェントサービスを利用するとキャリアアドバイザーによるサポートを受けられます。

効果的なアドバイスを受けることで自分一人で活動するよりも効率が良くなり、自分に合った方法で転職活動を進められます。また、スカウトも活発であるため、プロフィールを充実させることで企業からメッセージが届きやすいです。

運営会社	パーソルキャリア株式会社
公開求人数（2024年1月13日時点）	233,750件
対応地域	全国
職種	全職種
種類	総合型

転職が逃げるが勝ちと言われる場合によくある質問

まとめ

この記事では、転職は逃げるが勝ちと言われる理由について解説しました。会社側に非がある場合や悪質な労働環境であるケース、自分では解決できない問題を抱えているときは転職をして逃げた方が良いでしょう。

その一方で、抱えている問題が自分の努力次第で解決できるのであれば、転職しない方が良いこともあります。また、どうしても辞められない場合は退職代行サービスを利用しましょう。転職活動に臨む際は転職エージェントの活用がおすすめです。