ブラック企業にまつわるエピソードとは？回避・脱出する方法をあわせて解説！

就職活動・転職活動においてブラック企業への入社は絶対に避けるべきです。ブラック企業は労働基準法や民法などのルールに則らず、違法に運営されていることが少なくありません。

場合によって長時間労働やストレスにより体調を崩す可能性があり、最悪のケースでは過労死に至る場合もあります。今勤めている会社がブラック企業かを判断するためにも、特徴を押さえておきましょう。

そこで今回は、ブラック企業にまつわるエピソードを紹介します。あわせてブラック企業を回避・脱出する方法も解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

ブラック企業のエピソード10選

ここからはブラック企業にまつわるエピソードを10選紹介します。

残業時間が異常に多いケース

Aさんは新卒で入社し3ヶ月ほどの研修期間を経た後に正式に配属され、その職場の残業時間が異常に多いと感じました。

さらに、残業が多いだけでなく勤務時間に対して賃金が安く割が合わないと感じます。しかし、職場の先輩はそれが当たり前のように働いているため、自分からは言い出せません。

定時に帰宅できたことは一度もなく、忙しい時期は終電に間に合わなかったり日を跨いだりするケースもあります。

最初は「会社の仕事とはこのようなものだろう」と思っていたものの、学生時代の友人と話したときに初めて「ブラック企業に入社してしまった」と気づいたのです。

定時を過ぎた後でも先輩や上司が残って仕事をしており、先に帰宅してはいけない雰囲気が漂っているため自分で仕事を探すこともよくありました。

当然、平日にプライベートの時間を作ることはできず、休日は仕事の疲れを癒すために使わなければなりません。このまま働き続けると体調を崩すことが心配で転職を考えているそうです。

明らかに1人あたりの仕事量が合っていないケース

Bさんが入社した会社は業務量に対して明らかに人手が足りておらず、慢性的に残業が多い状況でした。

特定のスキルが求められる職場であるため中途社員を募集するもなかなか集まらず、新卒社員を教育して配属することが通例でした。

しかし、Bさんが配属されたときには既存の社員が何人か辞めており人材が明らかに足りていません。そのため、新卒の社員であっても任される仕事量が非常に多く、必然的に残業が多くなっていました。

特別なスキルが求められる割には手当の支給がなく、他の部署と基本給が変わらないことから、良い条件の職場を求めて退職する人が多いようです。

Bさんは新人にもかかわらず膨大な量と責任がある仕事を任されることになり、ブラック企業と感じながらも「自分が抜けると部署が成り立たない」と辞められずにいます。

社会保険に加入できないケース

Cさんが入社した会社では「社会保険には自分で加入してください」と言われました。Cさんは社会保険について詳しくなく、そのときは疑問に思ったものの深く考えずにいました。

もともとCさんが希望していた職種への転職であり「夢が叶った」という気持ちで働き始めたものの、働き続ける内に「ブラック企業なのでは」と思い始めたそうです。

そもそも5人以上の事業所に正社員として入社する場合、社会保険の加入は会社側の義務であるため違法です。しかし、社会保険料は労使折半であり会社側も負担するため、加入を認めないブラック企業が存在します。

また、この職場では勤続年数が長い人で3年と短く、入れ替わりが激しいことが分かりました。会社の制度が不十分であり労働環境が悪いことから、離職率が高くなっています。

給与は決して高いわけではなく、社会保険料を自己負担するとなると、何のために働いているのか分からないと感じ再転職を決意しました。

体調不良で有給を使えないケース

一般的な会社では体調不良で休む際に、有給休暇を消化するケースが多いですが、ブラック企業の場合はそのようにいきません。

Dさんが入社した会社はいわゆるブラック企業であり、サービス残業が多く長時間労働を強いられていました。

厳しい業務に何とか耐えて続けていたものの、ついに体調を崩してしまい1週間ほど休むことになりましたが、このとき有給休暇の消化は認められなかったのです。

1ヶ月の約4分の1を休んだことになるため、翌月の給与は少なくなり生活が苦しくなりDさんは危機感を覚えました。

さらに、劣悪な労働環境により退職者が相次ぎ、余計に勤務状況は悪化していきます。「自分が休むと運営できなくなる」ということで、体調不良でも出勤しなければなりません。

そのような状況のなか数年働いたものの、このブラック体質は改善されることはなかったためDさんは退職したようです。

上司の飲み会には強制参加

ブラック企業では上下関係が厳しく、上司との飲み会に参加を強いられるケースは珍しくありません。

いわゆる「飲みニケーション」を重視する古い考えがあり、不参加者は職場に居づらくなったりパワハラの標的になったりします。

Eさんが勤めていた職場では上司の飲み会には強制参加であり、プライベートの時間を確保できませんでした。また、Eさんは会社から離れた場所に暮らしており、通勤時間が片道2時間を超えていました。

ただでさえ帰宅時間が遅くなるにもかかわらず、飲み会への参加により終電を逃すことも珍しくなかったようです。

さらに、飲み会に参加しても楽しいわけではなく、上司から叱られることも多いためストレスが溜まります。Eさんは働き続けることに限界を感じ、仕事内容には満足していたものの職場への不満により退職しました。

休日でも会社の携帯電話が鳴り続ける

Fさんの場合、休みの日も早朝深夜でも関係なく会社携帯が鳴り続けていました。Fさんの職場は慢性的な人手不足であり、休日にも作業が食い込むことが常習化していました。

頑張って平日に自分の仕事を終わらせても、部署としての仕事が終わっていなければ、土日に上司から連絡が来るのです。電話に出なければ次の出社日にひどい叱責を受けるため出ないわけにはいきません。

このように自分は精一杯取り組んでいても、異常な上司のせいで長時間労働を強いられたり、休日に予定を立てられなかったりすることは、ブラック企業に勤めているとよくあります。

やがて携帯電話は鳴っていないにもかかわらず着信音が聞こえるようになり、次第に精神的に病んでいきました。

携帯電話を持っていないと不安を覚えるようになり、体力的にも限界を感じた結果、会社を退職したのです。

場所を変えて会議・仕事が行われる

Gさんが働いていた職場では、定時後に会社以外の場所を使いチームで会議が行われていました。

社内で会議をすると会社側は残業代を支払わなければならないため、タイムカードに打刻した上で会議をするのです。会社の近くのファミレスや居酒屋で実施されることが多く、飲み会ではないため参加を断れません。

しかし、そのような場所では周囲が騒々しく集中して会議に臨めず、情報漏洩になるため重要なことも話せないでしょう。このように、開催する意味が乏しい会議への参加を強制され、帰宅時間は遅くなります。

実際にGさんは終電を逃したことが何度もあり、やがて体力的な限界を感じて退職を決意しました。

労務管理体制が機能していないケース

Hさんが勤めていた会社では残業代は支払われるものの、労務管理体制が適切に機能していないブラック企業でした。つまり、残業していてもその時間や日付が管理されておらず「残業をやっていない」ことにされているのです。

Hさんが勤めていた会社では勤怠管理システムを導入しておらず、タイムカードも存在しませんでした。出勤したときにハンコを押し、残業時間は翌日上司に報告するという管理体制です。

毎日3時間から4時間の残業がありましたが、1ヶ月の残業時間は40時間ほどに抑えられているようでした。また、会社の経営が芳しくないときは、管理上の残業時間がさらに短くなります。

このような労務管理体制の杜撰さは求人票では分からないため、Hさんは転職する際に注意すべきだと感じました。結果として、Hさんはこのまま働き続けると過労で倒れることを心配し退職しました。

帰宅できず暴言を言われる職場

Iさんが働いていた職場には典型的なパワハラ上司がおり、帰宅できない日があったり暴言を吐かれたりしました。

長時間労働による肉体的な疲労だけでなく、上司の暴言が大きなストレスとなり心身ともに体調を崩してしまいました。しかし、体調不良で休むことは許されず、そのまま働き続けたために症状は悪化したのです。

また、繁忙期は帰宅できる日が少なくなり、プライベートの時間を確保できないため「何のために働いているのだろう」と思うようになりました。

同じような境遇の同僚が辞めようとした際、ひどい恫喝を受けていることを知っているためIさんもなかなか辞められずにいましたが、上司が異動したタイミングを機に退職しました。

上司の仕事を押し付けられるケース

ブラック企業は長時間労働を強いられるケースが多いですが、その背景は職場によってさまざまです。例えば、過酷な労働環境により離職率が高く、人手不足により労働時間が長くなることがあります。

Jさんが働いていた職場では、上司の仕事を押し付けられることにより労働時間が長くなっていました。

基本的にパワハラ上司はいるだけの存在であり、同じ部署で定時に帰れる人は上司とそのお気に入りの社員だけでした。Jさんを含む数人は、その人たちの仕事をこなさなければならず理不尽に仕事量が多いです。

残業時間は上司が管理していることもあり、歯向かうと残業代が出なくなるという状況であったため、Jさんは我慢して働き続けたのです。しかし、同じ境遇の同僚が辞めたことをきっかけにJさんも会社を退職しました。

ブラック企業の主な特徴

ブラック企業の主な特徴は次の通りです。

長時間労働が当たり前

ブラック企業は長時間労働が常習化しているケースが多く、肉体的・精神的な疲労が溜まりやすいです。普段の生活の中で大きなストレスを抱えることにより体調を崩すリスクも高いでしょう。

勤務時間は労働基準法によって定められており、原則として1日に8時間、週40時間を超えてはなりません。そもそも労働者と使用者間で「36（サブロク）協定」を結んでいない状態で発生する残業は違法です。
また、残業時間にもルールが定められており、労働基準法 第三十六条によると1ヶ月45時間・年間360時間を上回ってはいけません。残業がこの時間を超えている場合は違法なブラック企業といえるでしょう。

休日が少なく有給を取りにくい

企業によって年間の休日数は異なり、ブラック企業は少ない傾向にあります。一般的な会社員の年間休日は120日前後になり、それ以下であれば少ないといえるでしょう。

また、1日の法定労働時間でフルに働くと260日に相当することから、年間休日数の下限は105日となると言われています。

年間休日が105日以下であれば法定労働時間を超過しているためブラックである可能性が高いです。

他にも、ブラック企業は有給休暇を取得しにくい傾向もあります。有給休暇の取得は労働者の権利であるため、拒否すると違法となります。

しかし、ブラック企業では理不尽な理由で有給休暇を消化できなかったり、取得しようとすると文句を言われたりする環境であるケースが多いです。

低賃金である・残業代が出ない

ブラック企業は労働に対して給与が低い傾向にあります。企業にとって人件費は大きな支出であるため、利益の最大化を目的に従業員の給与を極力減らそうとします。

場合によっては最低賃金を下回っているケースも珍しくありません。このようなブラック企業は給料よりもやりがいを重視しており、多く働いていても賃金は増えにくいです。

また、残業代が出ないいわゆる「サービス残業」も多く、これらの賃金の問題はいずれも違法であるため、ブラック企業に該当するでしょう。

雇用条件に問題がある

ブラック企業では労働基準法などの法律を逆手に取り、雇用条件に問題があるケースも少なくありません。

例えば、労働基準法では監督・管理者の立場の社員に対し、労働時間や休日に関する規定は適用しないケースが認められています。

この法律を利用し、名ばかりの管理職に就かせ不当に残業を強いることがあります。他にも、みなし残業制度を盾に取り残業代を支払わないことも多いです。

残業が当たり前の職場でみなし残業制度が採用されている場合、基本給自体が低く設定されており、最低賃金を下回っていることもあります。

離職率が高い

離職率は企業選びにおいて重要な判断材料であり、数値が高いと過酷な労働環境である恐れがあります。離職率は一定期間内における退職者の割合を表す数値であり、ブラック企業は高いケースが多いです。

長時間労働や低賃金である職場は不満を抱えやすく、短期間で退職者が出やすいです。ブラック企業は退職者が多く慢性的に人材不足であり、1人あたりの業務量が多くなるでしょう。

このようなマイナスの連鎖が続き、引き継ぎが満足に行われずに従業員が退職することもあり、業務が回らなくなる恐れがあります。

上司や社長には一切逆らえない

ブラック企業では職場の上下関係が厳しい傾向にあります。上司や社長には逆らえず、意見することもままなりません。

このような職場では意見が通らないだけでなく、頻繁に激しい叱責を受けることによって逆らえない雰囲気が作られているケースも多いです。

有給休暇を取得しようとしても頭ごなしに拒否される場合が多くあり、働き方が窮屈になるでしょう。また、理不尽な業務を命じられても逆らえないため、抱えるストレスも大きくなります。

パワハラやセクハラが発生している

ブラック企業は職場が劣悪であり、パワハラやセクハラが横行しているケースがあります。先程の通り、ブラック企業では上司や社長に逆らえない職場が多く、違法となる業務を強要されやすいです。

他にも、常習的にセクハラを受けることにより嫌な気持ちで働く人も多いでしょう。仮に労働時間や賃金が適切であったとしても、パワハラにより大きなストレス・プレッシャーを受け、精神的に病む人は少なくありません。

これらの問題は社会的にも問題視されており、会社は防止する義務があることから、何も対策されていない職場はブラックといえるでしょう。

ブラック企業を見抜く方法

ブラック企業を避けるためにも、次の見抜く方法を押さえておきましょう。

会社のホームページや求人情報の写真に雰囲気が暗い人がいる

ブラック企業は長時間労働や職場に不満を持っている人が多いことから、会社のホームページの社員紹介や求人情報の写真を見ると、雰囲気が暗い人が映っているケースがあります。

もちろん会社の代表や幹部社員はいきいきとしていますが、それ以外の社員の表情を確認してみると、どこか疲れた顔をしていることが多いです。

他にも、求人サイトなどでは職場の写真が映っていることもありますが、しっかりと整理整頓されているかを確認しましょう。

ホームページや求人サイトは会社の顔であるため、そこに意識が向いていない場合はブラック企業である可能性が高いです。

若手社員が活躍できるとアピールしている

ブラック企業は離職率が高く入れ替わりが激しいことから、常に即戦力となる若手の人材を求めています。そのため、求人情報では「若手が活躍できる！」とアピールしているケースは少なくありません。

しかし、このようなアピールの背景には教育・研修といったサポートがなく現場に送られたり、難しい仕事を押し付けられたりするケースが多いです。

自分のスキルや経験に見合わない仕事が割り振られ、大きなプレッシャーがかかるため注意してください。

常に求人広告を出している

経営が好調で事業を拡大しているわけでもない状態で、常に求人広告を出している会社はブラック企業である可能性が高いです。

ここまでの説明の通り、ブラック企業の離職率は高いため新しい人を採用してもすぐに退職し、慢性的に人材不足であるケースが多いです。

好条件の会社であればすぐに応募が集まり求人広告の公開は終了するため、転職活動を始めたときから絶えず募集している企業は避けた方が良いでしょう。

ブラック企業の脱出方法

会社を辞める際のルールは民法で決まっており、雇用の解約の申し入れはいつでも可能です。また、申し入れの日から2週間を経過すると終了としています。

そのため、ブラック企業であろうと法律上では2週間前に退職の意思を伝えることで、会社を辞められます。

しかし、相手がブラック企業の場合、退職の旨を伝える機会を設けてもらえなかったり聞かなかったことにされたりするケースもゼロではありません。

特にパワハラがひどい職場であれば「辞める」と言い出せないほど、追い詰められている可能性もあるため注意が必要です。

どうしても辞められないないときの対策

どうしても辞められない場合は、退職届を内容証明で郵送する方法があります。もし会社側に退職の旨を伝える機会を設けられないときは、この方法により法律上では退職可能です。

ただし、この方法は一方的に会社を辞める手段であるため、会社側とトラブルになりやすく退職金・有給消化などを交渉しにくいです。

もし適切な方法で強引に会社を辞めたい場合は「退職代行サービス」を利用しましょう。退職代行サービスにはさまざまな種類がありますが、労働組合・弁護士が運営しているサービスであれば、会社側との交渉が可能です。

法律に基づいて交渉するため希望を叶えつつ退職できるでしょう。ただし、退職代行サービスに否定的な意見を持つ人がおり、ブラック企業ではその傾向が強いため、円満退職の実現は難しい点に注意してください。

転職エージェントの活用も有効

会社を辞めた後は収入がなくなるため、次の職場のことを考える必要があります。そのため、今の会社を辞める準備として転職エージェントの登録がおすすめです。

転職エージェントは無料で利用でき、求人の紹介から応募書類の添削・面接対策などのサポートを受けられます。

また、ブラック企業に勤めている人も多く利用しているため、適切な辞め方や転職活動の進め方のアドバイスも受けられます。

ブラック会社にまつわるエピソードのよくある質問

まとめ

この記事では、ブラック企業にまつわるエピソードを紹介しました。ブラック企業にはさまざまな種類があり、そのパターン別にエピソードがあります。

しかし、いずれのエピソードも労働時間が長く、過酷な環境である点は共通しています。そのまま働き続けると体調を崩し、最悪の場合では過労死する可能性もゼロではありません。

就職・転職する際はブラック企業かどうかを見極め、既に勤めている場合は脱出を試みてください。