会社や仕事に不満があるとき「一早く辞めたい」と感じる人は多いでしょう。実際に、会社によっては労働環境が劣悪で、違法な長時間労働を強いられているケースもあります。
このような環境で働いていると体調を崩すおそれがあるため、早期の退職がおすすめです。そこで今回は、仕事を早く辞めたいと感じる理由を解説します。
あわせて一早く辞めるポイントも紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
仕事を早く辞めたいと感じる理由とは?
退職を決意する理由は人それぞれですが、「一早く辞めたい」と思う場合にはいくつかの共通点があります。ここからは、どのような理由で早く辞めたいと思うかを紹介します。
労働時間が長い
残業や休日出勤などにより労働時間が長くなるほど、会社を辞めたいと感じることが多くなります。厚生労働省毎月勤労統計調査令和3年分結果速報によると、一般労働者の1ヶ月の平均残業時間は13.2時間です。
この時間を超えていると残業が多いといえますが、世の中にはさらに労働時間が長い職場環境があります。なお、労働基準法 第三十六条に定められている残業時間の上限は月に45時間、年間360時間です。
年間の残業時間における上限から考えると、1ヶ月に平均30時間以上残業するとオーバーする計算になります。これらのことから、毎月30時間前後の残業が発生している職場は多いでしょう。
また、いわゆるサービス残業を強いられている会社では、適切に残業時間が記録されていないケースがあり、実質の時間はもっと長い可能性があります。
仕事をしている時間が長くなると肉体的・精神的な負担が大きくなり、体調を崩したりプライベートの時間を確保できなかったりするため不満が溜まり、いずれは仕事を辞めたいという結論に陥りかねないのです。
労働に対して給料が少ない・不安定
労働時間や業務内容に対して給料が少ない場合や、毎月金額が変わるなど不安定なケースも、従業員の不満が大きくなり「辞めたい」と感じやすくなります。
業務量・残業が多いだけでなく給料が割に合わないと感じたり、決まった日に支払われなかったりすると、不満を感じるだけでなく、そのまま働き続けることに不安を抱えます。
特に給与面は働くモチベーションに大きく影響する要素であるため、何か問題があると仕事を辞めたいと考えるでしょう。
企業の将来性がなく生活が不安になる
勤めている企業の業績が慢性的に悪く、給料の支払いが遅れたり労働環境が改善されなかったりすると会社の将来性に不安を感じます。
また、このような企業の場合、努力して働いても昇給・昇格などに結びつかないケースもあります。特に働き続けている中で次第に業績が悪化し、給与が下がっている場合では将来性に不安を感じやすいです。
このまま働き続けても自分の希望する将来に繋がらないときや、企業の存続自体が危ぶまれる場合であれば、会社を辞めようと思うでしょう。
肉体労働などによる体力面の負担が大きい
先程の通り、労働基準法により所定労働時間や残業時間は決められています。この法律で定められた労働時間の範囲内であっても、業務内容が肉体労働で自分の体力では追いつかないケースもあります。
例えば、工場では重い原材料を持ち上げる作業を何度も繰り返すことが多いです。今までスポーツをしており体力的に余裕がある人であれば問題ないかもしれませんが、体力に自信がない人にとっては大きな負担になるでしょう。
このように、体力面の負担が大きい仕事に配属されたとき、「続けられない」と会社を辞めたくなります。
体調を崩してしまった
「体調不良」をきっかけに仕事を辞めたくなる人も少なくありません。特に過酷な労働環境で働き続けたことが体調不良の直接の原因である場合、早く会社を辞めたいと考えます。
実際に、労働時間が長い状態で働き続けると肉体的・精神的に疲弊し、体調を崩しやすくなり、回復するまでに時間がかかるため注意しなければなりません。
また、労働時間だけでなく通勤時間が長い場合も体調を崩すリスクが高まる傾向にあります。これらは転職することで解決できる問題であるため、「早く会社を辞めたい」という結論に辿り着きやすいです。
人間関係に問題がある
会社で仕事をする上で職場のチームワークは重要なため、互いに協力し合える人間関係を構築する必要があります。しかし、自分と意見が異なる人がいると、ストレスを感じやすくなるため注意しなければなりません。
他にも、職場によっては人間関係が原因でトラブルが発生することもあるでしょう。近年では、パワハラ・セクハラやいじめなどが社会的な問題として注視されています。
このような人間関係に問題がある職場で働き続けると、大きなストレスにより体調を崩す恐れもあるのです。
結婚などのライフスタイルの変化
会社側に問題がなく不満を感じていなくとも、ライフスタイルの変化によって「早く辞めたい」と思うことがあります。
例えば、結婚・出産に伴い、今までと同じ環境・条件で働き続けることが難しくなるケースは珍しくありません。他にも、「育児に専念したい」「親の介護がある」といった理由も該当します。
このような自分自身だけでなく、家族のライフスタイルの変化の影響を受けることもあり得るのです。
仕事を1日でも早く辞める方法
会社を1日でも早く辞めたいと思っていても、法律により退職するまでの日数が決められています。
民法627条では、雇用の解約の申し入れはいつでもできるとし、申し入れの日から2週間を経過すると終了としています。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用:民法
そのため、すぐにでも退職したい場合でも2週間の期間を設けなければなりません。しかし、有給休暇が14日以上残っている場合は、退職日まで消化することにより即日退職が実現します。
ただし、この流れで退職しようとすると、引き継ぎの時間を確保しにくいため実現は難しいでしょう。なお、企業側が退職日に合意すれば、2週間の猶予を設けずに辞めることは可能です。
円満に退職するためには、これらのルールを押さえた上で会社側と相談し、折衷案を見つけましょう。
仕事を早く辞めたいと思った時にすべきこと
今の仕事を早く辞めたいと思ったときには、いくつかやるべきことがあります。各手順を踏むことで気持ちを整理し、後悔なく退職できるでしょう。
ここからは、仕事を早く辞めたいと思った時にすべきことを紹介します。
自分と向き合ってみる
仕事を早く辞めたいと思ったときは、まず冷静になり自分自身の気持ちと向き合いましょう。落ち着いて考えてみることで、退職以外の解決策が見つかるかもしれません。
例えば、会社自体に不満はなく今の職場に問題がある場合は、他の部署への異動を打診することで解決するケースがあります。通勤時間が負担になっている場合は、自宅付近の職場への配属を希望する方法もあるでしょう。
また、勤務地付近に引っ越すことで負担を軽減できる場合もあります。「早く会社を辞めたい」と焦ると視野が狭くなるため、一度落ち着いて現状を把握してみてください。
転職活動を始める
早く辞めたいと思いすぐに退職をすると、次の仕事が見つかるまで無収入の状態が続きます。十分に貯蓄がある人でも、退職してから日が経つと徐々に生活が厳しくなります。
貯蓄が減っていくと焦りが生まれ、転職先を決める際に妥協するケースは少なくありません。そのため、会社を辞める前から転職を始め、極力活動期間を短くするように努めましょう。
次の転職先を決めることで収入が途切れなくなり、結果的に今の仕事を早く辞められます。
退職に向けて準備する
仕事を辞めることを決意した際は、退職の手順や押さえておくべきポイントを整理し、余裕を持って準備しましょう。
例えば、退職の意思を伝えることで会社を辞められますが、退職日までに2週間の猶予を設ける必要があります。また、企業によっては就業規則により退職までの日数が決まっているケースも珍しくありません。
他にも、有給休暇は退職すると利用できなくなるため注意してください。基本的には、残っている有給休暇の日数を考慮して退職日を設定します。
退職する際は自分が担当している仕事を後任者へ適切に引き継がなければなりません。仮に不備があった場合は、会社側が損害を被り訴訟に発展するケースがあります。
もし退職を決意しているのであれば、引き継ぎがスムーズに進むよう関連資料を整理するなど、できる範囲で準備を進めると良いでしょう。
退職の意思を上司に伝え仕事を引継ぐ
退職意思が固まり準備が整った後は、上司に会社を辞める旨を伝えましょう。場合によっては退職を引き留められることもありますが、退職日の相談や業務の後任者を決める話し合いをします。
直属の上司に退職の旨を伝えることで、その内容を人事部門が受理し、その後正式な手続きに移る流れが一般的です。
また、退職の旨を伝えるときに使用する書類が「退職願」であり、正式な手続きに利用するものが「退職届」です。会社側の手続きが進むと退職届の提出を求められるでしょう。
企業によっては規定の退職届のフォーマットがあるため確認してください。その後は、退職日までに引き継ぎや貸与物の返却などを済ませる必要があります。
早期退職者が多い会社の特徴
せっかく会社を辞めても転職先が悪ければ、またすぐに退職し再度転職活動を始めなければなりません。自分に合った職場を選ぶためにも、早期退職者が多い会社の特徴を押さえましょう。
今の先輩・上司の姿に憧れない
職場の先輩や上司の姿は、近い将来の自分の姿でもあります。例えば、仕事ができる先輩や上司がいても年収が低かったり、残業が多かったりすると憧れないでしょう。
そのような先輩や上司が多く、会社の文化や環境を自分で変えられなければ、自分も同じ道を歩むことになります。もしその姿に不満がある場合は、転職して職場を変えなければなりません。
このように自分の将来の姿が理想とかけ離れていると感じやすい職場は、早期退職者が多くなります。
職場内で悪口を耳にすることが多い
早期退職者が多い会社は、人間関係や職場の雰囲気が悪い傾向にあります。例えば、職場内で同僚や上司の悪口を耳にする機会が多い場合は注意してください。
なお、何か不満があったとしても、口にすることは避けるべきです。誰かの愚痴や悪口が常習化している会社は、良好な人間関係を築けないことから、すぐに辞める人が多くなります。
そのような職場で働いている人はストレスを感じやすいため、すぐに辞めた方が良いでしょう。
業務内容や量と給料のバランスが悪い
いわゆるブラック企業に該当し業務量が多いにもかかわらずサービス残業などにより給料が低い場合は多くの人が不満を感じるため早期退職者が多くなります。
基本的に残業は労働基準法により1ヶ月に45時間まで、1年間で360時間までと上限が決められています。これ以上の残業がある場合は、労働基準法違反になるでしょう。
しかし、ブラック企業の中にはタイムカードの打刻をした上で仕事をしなければならないこともあります。このような職場では、残業は発生していないと扱われるため残業代は出ません。
このような悪質な労働環境で働き続けると体調を崩すリスクが高くなりやすいため、早期退職者が多くなる傾向にあります。
仕事を早く辞めた方が良い職場
自分の意思とは関係なく、早く仕事を辞めた方が良い職場は存在します。主な特徴は次の通りです。
給料や残業代が適切に支払われない
労働の対価として給料が支払われるルールですが、適切に働いていても会社の経営状況によっては給与の振り込みが遅れる可能性があります。
また、先程のように悪質な会社の場合、実質の残業に対する賃金が支払われないこともあるでしょう。正当な理由なく給料が支払われていない状況は、会社側が契約に違反している可能性が高いです。
このように給料の未払いや遅延がある場合は、会社の経営が傾いている可能性があり近い将来に破綻しかねません。そのまま在籍し続けても、仕事を失うリスクが大きいため早く辞めた方が良いでしょう。
長時間労働が常習化している
ここまでの紹介の通り、残業時間が法律で決められた時間を超過している職場は存在します。場合によっては、職場に寝泊りして自宅に帰れないこともゼロではありません。
長時間労働が続いているとプライベートの時間を確保しにくくなり、体へのダメージは大きい傾向にあります。肉体的な疲労を回復させることは難しいです。ストレスフルな状態が続くことで精神的にも大きな負担がかかるでしょう。
このような状況が長期間続くことにより、体調が悪化するリスクは高まるためすぐに辞めて環境を変える必要があります。
経験を積んでも仕事が変わらない
何年も同じ会社で働いているのにもかかわらず、仕事の内容が変わらないケースがあります。一般的に経験年数に応じて担当する仕事もレベルアップしていき、責任がある業務を任されます。
しかし、会社によっては何年間も同じ仕事しかできないこともあり、そのままでは自分の成長に繋がりません。もし転職を決意しても、有効なスキル・経験をアピールすることが難しくなります。
また、仕事内容は給料が決まる重要な要素であるため、業務が変わらなければ給与面にも反映されないでしょう。
パワハラやセクハラなどが発生している
働いている職場でパワハラやセクハラなどの被害を受けている場合は、すぐに会社を辞めた方が良いでしょう。サービス残業と同様にパワハラやセクハラも問題視されています。
企業はこのような問題が発生しないように、職場環境を整える義務があります。しかし、実際にパワハラやセクハラが起きているのであれば、これらの義務を果たしていないことになるでしょう。
自分が被害者ではない場合でも、会社側が改善に向けて動いていないのであれば、同様の被害を受ける可能性が高いです。
仕事が原因で体調を崩した
今の仕事が原因ですでに体調を崩している場合は、回復し万全な状態で働くためにも会社を辞めた方が良いでしょう。
例えば、自分の体力に合わない肉体労働や、プレッシャーが大きな仕事を任せられることにより、大きなストレスを抱えた結果、体調を崩す可能性があります。
他にも、先程のようなパワハラ・セクハラによるストレスで病気を患うことも珍しくありません。仕事を続けることで悪化する恐れがあるため、無理せずに退職を検討しましょう。
辞めたくても辞められない
先程の民法627条の通り、従業員は雇用期間の定めがないときに、いつでも解約を申し出ることができる「退職する自由」があります。そのため、一般的な正社員であれば任意のタイミングで退職が可能です。
それに対し、企業側は正当な理由なしに退職を拒むことができず、拒否した場合は違法となります。しかし、法律に違反している企業に勤めている場合は、辞めたくても辞められないケースがあります。
場合によっては脅迫に近い形の引き留めに遭う可能性もあり、さらに精神的な負担は大きくなるでしょう。このような場合は、労働組合や弁護士が運営する退職代行サービスの利用がおすすめです。
これらのサービスであれば、会社側と交渉した上で退職を実現できます。
仕事を早く辞めたい人に起こりやすいトラブル
仕事を早く辞めたい人に起こりやすい主なトラブルは次の通りです。
脅されており辞めたいと言えない
会社に退職を申し出ても拒否されるケースは珍しくありません。例えば、慢性的な人手不足であり中核のメンバーに抜けられると、業務に支障が出る可能性があるためです。
悪質なケースでは脅迫まがいの暴言で会社に残ることを強要される場合もあります。これは「在職強要」と呼ばれ、近年問題になっています。
このような場合、辞めたいと上司に伝えると「損害賠償請求をする」「違約金を請求する」と脅迫されるケースがあります。
しかし、よほど大きな問題を起こしていない限り、退職を理由に損害賠償や違約金を請求することは禁じられているため違法に該当するのです。
就業規則にある退職のルールが民法よりも厳しい
会社によっては就業規則によって独自の退職ルールを設けていることがあります。例えば、「退職する際は1ヶ月以上前に申し出なければならない」といったルールが決められていることが多いです。
これは民法で定められている2週間の猶予では、有給休暇を全て消化した際に引き継ぎの時間を確保できないためです。
基本的には民法の規定が優先されるものの、1ヶ月程度であれば先程の理由により合理性を認められる可能性があります。そのため、就業規則を把握せずに退職を申し出ることにより、トラブルに発展しやすいです。
有給休暇を消化できない・給与を支払わらない
会社を辞める際に、悪質な場合だと有給休暇の消化を認められなかったり、残りの給与を支払わないと言われたりすることがあります。
しかし、有給休暇は労働基準法によって定められた労働者の権利であるため、会社側が取得させないことは違法です。また、労働者がいつ退職する場合でも、それまでに発生した給与を支払うことも会社側の義務です。
退職後も未払いの給与は請求できるため、勤務日数に関する証拠を残すと良いでしょう。
転職する際はエージェントサービスの利用がおすすめ
会社を早く辞めたいと思っても、次の職場が決まっていない状態で退職すると無収入状態が生まれます。そのため、効率良く転職活動をして次の勤務先を決めた状態で会社を辞めなければなりません。
その際には、転職のプロである転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントは基本的に無料で利用できるもので、面談を通じて求職者の希望をヒアリングし、その内容に適した求人を紹介してくれます。
企業とのやり取りも仲介してもらえるため、応募書類の提出や選考の日程調整も自分で行う必要はありません。さらに、選考の突破率を高める履歴書・職務経歴書の添削や、模擬面接などの対策を受けられます。
また、転職エージェントによっては現在の仕事の悩みに対しても親身なサポートを受けられるため、円満退職が実現しやすいです。
もし退職に関する法律やルールに不安を感じている人は、ぜひ相談してみてください。
会社を早く辞めたい場合によくある質問
会社は最短何日で辞めれる?
民法によると退職を申し出た日から退職日までに2週間なければなりません。しかし、有給休暇が14日以上ある場合は、退職を申し出た日から全てを消化することで、実質即日退職が可能です。
また、14日間の猶予が設けられていますが、会社側が承諾することで早く退職できます。他にも、体調不良や怪我などのやむを得ない事情がある場合も、14日以内に退職できるケースがあります。
即日退職は違法ですか?
会社の承諾なしに即日退職をすると民法に反するため違法です。ただし、先程の通り有給休暇が14日以上残っている場合や、やむを得ない事情がある場合、会社が承諾した場合は即日退職を実現できます。
まとめ
この記事では、仕事を早く辞めたいと感じる理由を解説しました。残業により労働時間が長い場合や、肉体労働やプレッシャーのかかる仕事による身体への負担が大きいことが不満である人は少なくありません。
他にも、自分の力では改善できない悩みがある場合に「早く辞めたい」と感じます。会社をすぐに辞めたいときは、関連する法律を押さえると良いでしょう。
有給休暇が残っていると、実質的な即日退職が可能になるため、自分に合った会社の辞め方を実践してみてください。
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